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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生59巻3号

1995年03月発行

雑誌目次

特集 医療の機能分化と連携

「かかりつけ医」の推進

著者: 糸氏英吉

ページ範囲:P.156 - P.159

■医療社会の変化
 戦後のわが国は驚異的な経済成長をとげたが,現代社会の中でも今や国民にとって医療は日常化したといってよいくらいに,制度の面でも負担の面でもさらにまた,その質の面でも十分に恵まれたものになってきている.しかしながら国民皆保険制度の実施に伴って医療機関に患者があふれ,一方,医療の近代化,診断技術の機械化,情報化時代に伴う患者の医療ニーズの多様化・高度化によって,開業医と患者との心のふれあいが次第に希薄となって,病気を診て患者を診ないといったことも不本意ながら認めざるを得ない.そして,一部の開業医の中には,自分の都合のよい時間に都合のよい患者だけを診れば事足れりとする自己中心的思考が芽生えていなかったか,さらにまた,前時代的開業医の姿に安住して,近代医学の目覚ましい進歩に目をふさぎ,近代的「かかりつけ医」としての自らの研鑚を忘れてはいないか,率直に反省すべきであろう.
 また,患者のほうにも,とにかく病院の重装備の中で受診すれば,高度なより良い医療が受けられるものという安易な誤った認識が定着しつつあったことも、残念ながら認めざるを得ない.

訪問診療の今後

著者: 桜井秀也

ページ範囲:P.160 - P.164

はじめに
 高齢化社会の進展とともに,在宅医療の問題がクローズアップされてきたことは今さら言うまでもない.それを裏づける形で平成4年の医療法の改正の中で,医療の提供の場として「居宅」が明記された.訪問診療は「居宅」における医療,すなわち在宅医療を実施する上での最も重要な手段であるとの認識にたって,ここでは訪問診療の問題を在宅医療全体の問題としてとらえていきたい.さらに保健・医療・福祉の連携という総合的な見地から問題を考えるために,狭義の在宅医療だけでなく,在宅介護などの問題なども含めて考えていきたい.そこで,はじめに言葉の定義の問題,在宅医療と施設医療の関連性,在宅医療と診療報酬点数について述べる.次に,実際に個々の在宅医療に携わるのは一人ひとりの医師であるが,保健・医療・福祉の連携という見地から考えると,その推進をバックアップしていくためには,医師会という組織としての在宅医療への対応が不可欠であるとの考えから,本来は患者さんを中心に置くべきであるが,医師会の立場からという意味で,在宅医療を行う医師(医師会)を中心に置いた上で,4つの関わり合いについて述べてみたい.

病院の機能分化の必要性と機能連携の促進

著者: 岩﨑榮

ページ範囲:P.165 - P.168

はじめに
 わが国において病院とは,医療法の規定では,「医師または歯科医師が,公衆または特定多数人のため医業または歯科医業をなす場所であって,患者20人以上の収容施設を有するものをいう」と定義されている.
 機能的には収容機能を持つことで特徴づけられているのが病院ということになる.ここで,断っておくが,「収容」という用語の使用についてであるが,語源的にも,語調(イントネーション)やニュアンスからも,少なくとも病院の機能として使う言葉としては必ずしも適切とは思えない.何となれば,患者を収容するのではなく,患者さんに入院していただくわけであるから,今後は収容機能のことを入院機能と呼称することとする.したがって,病院とは専ら入院機能を有する施設ということになる.

病診連携のあり方

著者: 大道久

ページ範囲:P.169 - P.172

医師機能と病院機能
 病診連携は,病院と診療所という医療施設間の連携と理解されるが,より本質的には医師機能と病院機能の連携として捉えられるべきものと考えられる.診療所は医療法上の施設体系であるが,病診連携には診療所という施設における医療と病院との連携だけではなく,往診や訪問診療など在宅における医療と収容の場である病院との連携の重要性も増しているからである.医療を受ける者の居宅も医療の場であると考えられるようになり,在宅における医学的管理を専ら行う診療所医師も出現してきている.本稿では,このような新たな局面における病診連携のあり方を考えておきたい.
 さて,自山開業制により成り立ってきたわが国の医療において,医師は診療所を開業して自らの専門とする医療に直接取り組むことができた.一定数以上の病床を持ち,設備・機器を整備して病院となっても,外来には診療所の時と同様に多数の患者が来院して,その機能は相互に大いに重複していたと言うことができる.しかし,改めて診療所と病院の機能を社会的に区分しようとする方向が明確となってきた.

尼崎市における地域医療ネットワーク

著者: 藤岡晨宏

ページ範囲:P.173 - P.176

はじめに
 地域医療の充実をはかる尺度としては,医療のレベルの高低そのものよりも,むしろ医療を供給するシステムが整備されているかどうかが,より重要なものと考えられている.なぜならば,地域が医療に求めるものは平等性であり,だれでも,どこでも,いつでも同じ質の医療を受けることができる,ということが地域医療の原点となるべきだからである.
 医学の進歩に伴って医療はますます高度なものとなり,医療にも専門分化が起こってくる.現代の日本においても画像診断の発達,臓器移植外科の進歩,遺伝子工学の利用などが医療の内容や在り方を変えつつあり,また一方では,社会が経済的に発展して安定してくるとともに,社会の医療に対する要求はより一層包括的なものとなる.従来の診療に加えて,疾病予防対策,早期発見のための検診,さらに癌や痴呆のターミナルケアも含めての充実が求められる.これらは行政が関与する分野でもあり,福祉との一体化のためにも医療のシステムが確立されなければならないと考えられている.

離島・へき地と地域中核病院との連携—長崎県における現況

著者: 寺本成美

ページ範囲:P.177 - P.180

はじめに
 保健・医療・福祉を含めた離島・へき地と本土との連携に関しては,国民の健康を守るという立場からすればとうてい十分であるとは言い難い.
 長崎県は578島の離島を有し,その面積は県面積の約45%で,県人口の約16%に当たる25万人が離島の住民である.離島のなかにおける医療の完結が理想ではあるが現実的ではない.そこで,離島・へき地医療支援体制の充実整備が重要となる.その一つが,離島中核病院とサテライト診療所との連携,および離島中核病院と本土における地域中核病院(親元病院)との連携である.それを支えるための長崎県における特徴的体制について現況を述べる.

難病への専門医療機関と保健所の連携—大阪難病医療情報センターの役割

著者: 澤田甚一

ページ範囲:P.181 - P.184

はじめに
 今日の難病対策の発端は,昭和33年ごろから報告されはじめ,大きな社会問題となったスモンに対する研究体制の整備が契機となっている.昭和47年10月,国において「難病対策要綱」が策定され,調査研究の推進と医療費自己負担の解消などをあげて,難病対策が推進された.これが特定疾患医療費援助事業の始まりである.医療費公費負担申請窓口は保健所であり,このため保健所と難病患者との地域でのかかわりが大きく広がってきた.
 一方,大阪府では昭和47年に「大阪府難病対策懇談会」が設置され,(1)調査研究の推進,(2)医療費の援助,(3)医療機関の整備,(4)在宅難病対策,を四つの柱として難病対策が始まった.

保健・医療・福祉の連携の現状—愛知県における意識実態調査から

著者: 加藤順吉郎

ページ範囲:P.185 - P.190

はじめに
 21世紀高齢社会の到来を迎え,各種の保健・医療機関および福祉施設等を取り巻く経営環境ならびに社会環境はますます厳しさを増していく一方,これらの機関・施設ならびにサービスに対する住民・患者のニーズは,ますます高度化・多様化・個性化してきた.このため,各施設がこのような諸状況および制約条件のなかで,今後とも住民・患者ニーズに応えた質の高い各種サービスをそれぞれの地域のなかで効率的かつ効果的に提供していくためには,地域保健医療福祉システム構築における7つの重点課題:(1)施設運営上の理念・方針,(2)連携促進と協力体制,(3)人材確保・育成(4)情報化促進,(5)施設・サービスの自己評価と向上対策,(6)住民参加,(7)民間活力,に関する関係施設および関係者の実態調査分析,今後のあるべき姿とその具体化に向けての抜本的な見直しが早急に必要となってくるであろう.このような考えと基本方針に基づいて愛知県医師会では,平成2年10月に愛知県下の保健・医療・福祉関係者15,000余名を対象に,「在宅ケアおよび連携促進等」に関する職種間の意識実態調査と比較分析を行った.さらに,平成5年11月には愛知県下の保健・医療および福祉施設責任者9,300余名に対して,「保健・医療および福祉施設におけるサービスの向上と連携促進等」に関する調査分析を実施した.

高齢者の在宅ケアにおける保健・医療・福祉の連携

著者: 大原啓志

ページ範囲:P.191 - P.194

はじめに
 1993年度末をめどに,全国の市町村の老人保健福祉計画が策定された.この計画では,名称にも明らかなように医療は含まれていない.しかし,たとえば要援護老人の在宅ケアについて,現在あらためて医療を含めた三つの分野間の連携のあり方が問われていることはいうまでもない.
 筆者が計画策定に関わりを持ったA市では,寝たきり老人数の推計のため医療機関入院中の高齢者の調査を行い,将来推計数のなかでの医療機関入院者の割合が論議の的となった.しかし,在宅サービスについては,「保健・医療・福祉の連携」のなかで「在宅医療の充実」の項を設け,医療機関相互の連携,かかりつけ医の確保,往診・訪問看護の拡大について簡単に触れたにとどまった.B町は,後にも述べるように,訪問サービスに関しては保健と福祉の一体化がすすみ,その窓口と医療機関との連絡がとられている.そこで,その連絡の充実,さらに病院・老人保健施設の入退院の情報交換の充実が計画に盛り込まれた.いずれにしても本来の意味での医療を含めた計画とはいえないが,在宅ケアにおける医療との連携のあり方を考える契機にはなったように思う.
 保健・医療・福祉の連携を考えるという課題に対して,きわめて限られた分野における,しかも高知県内の限られた地域での高齢者保健福祉計画策定への関与と看護学生の十数カ市町村の地域実習のレポートからの印象からであるが,在宅ケアをめぐる連携について考えていることを述べる.

視点

地域保健と学校保健の連携

著者: 髙石昌弘

ページ範囲:P.154 - P.155

保健活動の対象とその一貫性
 「揺藍から墓場まで(from cradle to grave)」という表現が「胎内から墓場まで(from womb to tomb)」と変わってすでに久しい.人間の一生は,まさに受精から死に至るまでのすべてのライフステージとして一貫しているわけであり,保健活動はそれぞれのライフステージの特性を考慮して行われなければならない.
 行政の専門分化が進んでいくなかで,保健活動の分担も厚生省,文部省,労働省の関連部局と多彩化してきたが,これは,それぞれのライフステージの特性が考慮されたからといってよい.地域保健,学校保健,産業保健という表現で,それぞれが独自の発展をして今日に至ったことは当然の成り行きであろう.しかし,振り返ってみれば冒頭に述べた通り,保健活動の対象は,どのライフステージにあるとしても決して独立したものではなく,一貫していることは言うまでもない.それぞれの保健活動が十分な連携を保たなければならないことは当然である.しかも,このような時間的流れの一貫性にとどまらず,生活の場を考えてみても,家庭,地域,学校,職場は空間的な深い関連性をもっているはずであり,生活環境という視点からも,それらの関連性が重視されなければならないはずである.

アニュアル・レポート

公衆衛生学の動向—第53回日本公衆衛生学会を中心に

著者: 能勢隆之

ページ範囲:P.195 - P.197

はじめに
 日本の人口は2020年には超高齢化社会に突入すると推計されている.社会的価値あるいは生存の価値観が多様化すると同時に,その価値観が急速に変化しているため,公衆衛生分野の施策も変化することを余儀なくされている今日であり,伝統的考え方を踏襲するのみでは対応しきれなくなっている.かつ,保健・医療・福祉の連携が叫ばれるなか,保健を中心に活動してきた公衆衛生も,他の2つの分野との合体した考え方と施策が必要である.
 公衆衛生対策は伝染病予防よりはじまり,現在では,習慣病といわれる成人病や難病,精神疾患,産業廃棄物処理など対応の困難な課題を解決しなくてはならなくなっている.また,寿命の延長により,病気の内容も老化に伴うものが多くなり,だれもが障害者にならざるをえなくなっている.生きていても,寝たきり状態で自立して生活が出来なければ“社会的死”とまでいわれるようになり,生存の意義が変遷しつつある.

衛生学の動向

著者: 岡田晃 ,   中村裕之

ページ範囲:P.198 - P.200

はじめに
 本レポートでは平成6年4月6日から8日までの3日間にわたって,石川県金沢市で開催された第64回日本衛生学会総会の概況を報告したいと思う.
 第64回日本衛生学会総会は,金沢市文化ホール,石川県文教会館をはじめ5施設を会場とし,上述の日程で開催された.本総会が金沢で開催されるのは24年ぶり,64回の歴史の中で4回目である.本学会での学会行事は一般演題発表に,総会行事として行われた次期会長講演および学会奨励賞受賞講演を加えたもので構成され,会員相互の学問的討議を中心とする本総会の特徴を引き継いだものとなった.一般演題しては405題の発表があり,参加人数は900名を越えた.以下,総会の概要について述べる.

産業衛生学の動向—第67回日本産業衛生学会を中心に

著者: 青山英康

ページ範囲:P.201 - P.203

はじめに
 今日,産業保健を取り巻く背景は急激に,そして大きく変化しており,この変化の実態を正確に把握していなければ,職場で発生している健康問題の把握は困難であり,ましてや問題の解決も望めない.それだけに,生涯研修に裏付けられた専門職の創意と工夫による的確な状況判断に基づく,適切な対応が強く求められている.
 このような状況への行政対応として,地域産業保健センターと都道府県産業保健推進センターによる全国ネットワークづくりの展開が図られている.

連載 健康づくりの実践に向けて・3

市町村における健康づくりの現状—禁煙を中心にして

著者: 久保訓子 ,   坂田清美 ,   小林勝義 ,   中村好一

ページ範囲:P.204 - P.207

はじめに
 昭和63年から実施されている第2次国民健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン)は,疾病の発生予防や健康増進に重点をおいた施策である.健康づくりの中で,喫煙の健康影響について広く周知普及させ禁煙運動を展開することは,肺がんをはじめ種々の疾病の予防対策として重要な位置を占めている.
 前回に引き続き,全国の市町村に対し実施した健康づくり事業の現状調査より,喫煙対策について報告する.

都道府県医師会の公衆衛生活動

青森県医師会の公衆衛生活動

著者: 原田隆宜

ページ範囲:P.208 - P.209

 最近「公衆衛生」という言葉はあまり聞かれなくなったし,県庁の公衆衛生課も健康推進課に名称が変わった.この度,地域保健法が国会を通過し,わが国の公衆衛生行政は新しい展開を施行することになった.これに伴って医師会も行政と協調して活動する分野では,これまでとは変わった対応をしていかざるを得ないと思う.全国一の短命県とされる本県の場合,その原因として県民所得の低さ,気候風土の違い,検(健)診率の低さ,検(健)診異常者のフォロー対策の不徹底等が挙げられ,官民一体となってその対策に努力しているところである.
 まず,県医師会独自で活動している主な事業から紹介していくことにする.

地域口腔保健—歯科医師会の実践

愛知県歯科医師会の歯科保健活動

著者: 加藤友久

ページ範囲:P.210 - P.211

はじめに
 愛知県歯科医師会では,行政機関・歯科医療関係者・住民が一体となって地域住民の歯科保健の向上のため,地域社会に密着した総合的歯科保健活動を推進している.
 歯科保健活動の内容としては,母子歯科保健活動・学校歯科保健活動・保健所歯科保健活動・産業歯科保健活動・節目健診等の成人歯科保健活動・8020運動やあいちシルバーカレッジの講演等の老人歯科保健活動,といった地域のライフサイクルを通じた歯科保健活動を展開している.

調査報告

中国河北省における医師,看護婦の勤務状況および医療に関する意識調査

著者: 菊池祥子 ,   伊関憲 ,   田勢長一郎 ,   田中正敏

ページ範囲:P.212 - P.215

はじめに
 中華人民共和国(以下,中国という)は,長い歴史の中で,漢方医学,針灸など伝統医学をはじめとして,「はだしの医者」の存在があり,近年には西洋医学の導入など様々な変革を遂げ,特に文化大革命後の医学教育,医療体制,保健などの発展はめざましい.中国医学の歴史や医療システムについての報告は多数みられるが,その医療体制の中で,実際に,医療に携わっている医療従事者の状況についてはあまり知られていない.
 今回,中国河北省の病院にて医師,看護婦に,勤務状況および医療問題の意識調査を行う機会を得た.今日わが国においても,医療従事者,特に看護婦の夜勤などの勤務状況の改善,そして医療問題として,インフォームドコンセント,QOL(Quality of life),癌告知の問題,脳死について診断基準や倫理問題,臓器移植の是非などが日々問われている.隣国でありながら文化,政治,経済,倫理観など,さまざまな面でわが国と異なっている中国における医師や看護婦の状況ならびに医療の現状について述べる.

新しい保険・福祉施設

京都市健康増進センター(ヘルスピア21)

著者: 伊地知濱夫

ページ範囲:P.216 - P.217

1.京都市健康増進センター設置の目的
 京都市健康増進センターの発足は平成5年7月である.当施設が建設された経緯は,長年,京都府医師会長を務められた田辺朋之氏が,平成元年8月に京都市長に就任後,施政方針の一つとして掲げた「健康都市構想」に由来するもので,すべての人々が生き生きとした人生を築くために,健康を求める機会を保障し,健康を育む環境を積極的に整備することを目的としている.現在,この目的達成のための環境は決して十分ではないので,当センターは「自分の健康は自分で守る」という機運をさらに高め,市民の健康の保持・増進を推進するための拠点となるよう活動している.

保健行政スコープ

こどものいじめと自殺について

著者: 橋爪章

ページ範囲:P.221 - P.223

 昨年11月末から12月にかけて,いじめを苦にして自殺した中学生の事件を契機に,こどものいじあと自殺に関する報道が急増した時期があった.当時は,ほぼ週に1回のペースで,各地での中学生の自殺が報道されていたのだが,報道の基本的なトーンは「わが国の中学生のおかれている状況は異常だ」,「こどもの自殺増加の背景にはいじめがある」といったところであった.これらの報道にさらされて,フィーリングとして「異常」や「増加」を受け止められた方も多いであろう.
 報道機関が,社会に潜む問題点をあばきだすための方策としてセンセーショナルに「異常」や「増加」を印象づけることにはそれなりに意義があるのだが,本誌の読者層であるところの公衆衛生のプロの方々には,「異常」なり「増加」なりを数量化して分析するセンスが求められており,問題の本質とは若干ずれるかもしれないが,公衆衛生的アプローチを考える適当な題材としてこどものいじめと自殺を取り上げてみたい.たとえば「○○地域には△△病が多い」ということがまことしやかに語り継がれ,特別対策を検討したりもしたが,いざ数量化してみるとそのような事実はなく,単に△△病に詳しい研究者が○○地域を診療圏としていただけだった,というような話を耳にすることがある.問題が提起されている現象を正しく把握するのに,数量化が必要なゆえんである.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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