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特集 地方自治体はどのように地域保健を推進するか
地方自治体と地域保健
著者: 多田羅浩三1
所属機関: 1大阪大学医学部公衆衛生学
ページ範囲:P.228 - P.231
文献購入ページに移動今日の公衆衛生は,1848年のイギリスの公衆衛生法によって,中央に保健総局(General Board of Health),地方に地方保健局(Local Board of Health)が設置され,各地方保健局に保健医官(Medical Officer of Health)が置かれるという方式が示された時,その体系が定式化されたと思われる1).この法律を起草したエドウィン・チャドウイックは,巧利主義哲学の首唱者であったジェレミー・ベンサムの弟子であり,1834年の改正救貧法成立の立て役者であった.
ベンサムらの理念は,最大多数の最大幸福という有名な言葉によって代表されるように,多数のもののために少数のものが犠牲になることは,社会の巧利性を考えれば仕方のないことであるとする面があり,そのことが彼らの主張する政策を,専制的で,中央集権的なものとしてしまう傾向を生むことになったといえる.
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