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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生59巻4号

1995年04月発行

文献概要

活動レポート

日本寄生虫予防会の活動

著者: 原隆昭1

所属機関: 1(財)日本寄生虫予防会調査研究部

ページ範囲:P.275 - P.279

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はじめに
 人と寄生虫との関係はまことに古く,古代の遺跡から見つけ出された人糞化石の中に寄生虫卵が発見されることによってもこのことが証明される.人体に感染した寄生虫は,成長して卵を産むようになる.それが人体から排出され,様々な経緯を経て再び人体に入り込む“生活史”を繰り返すのだが,その主な媒介を務めるのが人糞であり,人糞により直接,間接に汚染された水や野菜などの食物である.
 日本では,奈良,平安のころから人糞が肥料として用いられた記録があり,以来連綿として受け継がれて来た.特に織田信長以後顕著になった城下町の形成と,都市への人口集中は,都市から農村への屎尿の還元と,農村から寄生虫卵に汚染された野菜などの移入という循環を生んだ.この傾向は江戸期に至ってますます広がり,江戸や大阪のような大都市では屎尿が売買の対象となったほどであった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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