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特集 現代の予防接種—その意義と課題
現代の結核とBCG接種
著者: 森亨1
所属機関: 1財団法人結核予防会結核研究所
ページ範囲:P.538 - P.541
文献購入ページに移動日本最近の結核問題の特徴を要約すれば,①低蔓延化,②患者発生の特定階層・集団への集中化,③管理困難患者の増加,④地域・階層間の格差の拡大,⑤関係者の過度の無関心,となろうか.これらは互いに関連しあっており,米国ほか西欧諸国でも同様な傾向がみられる.これらの問題への対応は,おくればせながらこの数年問いろいろの対策の改変として行われてきた.その基本は「従来の集団的な対応重視からより個別的な対応へ」の転換である.患者発見のための方策が「集団検診・定期検診」から「接触者・定期外検診」へ重点を移しつつあることがその見本である.厚生省が1993年に策定した「定期外検診ガイドライン」はもっぱら接触者を中心とした患者の早期発見のための保健所の活動のあり方を示したものであるが,これと連動する形でいわゆる患者管理が新しい意義を帯びて浮上してきた.発病から診断までの社会的活動の把握にとどまらず,患者に対する働きかけのなかでの規則的な治療の確保,そのための環境の調整といったことが必要な患者が相対的に(絶対数は以前に比して激減のはず)増加している.これらは結核対策活動がより総合的で柔軟な接近を必要とする応用問題=ケースワークであることを示しているともいえよう.このための活動の特徴を示すキーワードは①多機関,多職種間の連携とその要の機関としての保健所の調整機能,②専門家の支援体制,あるいは援助のとりつけ,③保健所・県などを挙げての組織的な対応,などであろう.
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