文献詳細
文献概要
論説
豫防衞生行政の根幹
著者:
所属機関:
ページ範囲:P.63 - P.64
文献購入ページに移動獨逸その他の歐州の文化國家に於ては屎尿を介して傳播される消化器系傳染病及び昆虫媒介性傳染病は文化の未だ進まなかつた過去に於ては猖獗を極めたものであるが,文化の進んだ今日に於ては最早制渇されて農村に散發を見るに過ぎなくなつたのでKisskaltはこれをKrankheit der Unkulturと呼んだのであつた。然るに呼吸器系傳染病は文化の進んだ今日に於ても尚跳梁をほしいまゝにしているのでDegkwitzはこれをZivilisationskrankheiten,又de RudderはZivilisationsseuchenと稱したのであつた。こゝに呼吸器系傳染病と云うのは百日咳や結核などのように主として呼吸器を冒かす狹義の呼吸器傳染病だけではなく,ハシカ,水痘,猖紅熱,天然痘などのような臨床家の所謂發疹性傳染病及び流行性髓膜炎のような神經系傳染病をも含んだ傳染病群,即ち主として氣道を侵入門戸とする疫學者の分類による廣義の呼吸器傳染病を指すのである。
掲載誌情報