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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生6巻3号

1949年09月発行

文献概要

綜説

急性灰白脊髄炎の疫學

著者: 甲野禮作1

所属機関: 1公衆衞生院衞生微生物學部

ページ範囲:P.128 - P.137

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1.急性灰白脊髓炎の疫學的特徴
 急性灰白脊髄炎の源泉地はスカンヂナビアであるといわれている。本病は以前から散發的に發生していたが此地方で1870年代からその性質を變じ,大小の流行を起す樣に成つて來た。この爲に學者の注目を惹き,Joring,Heine,Medineによる臨床的研究,Wickmannによる疫學的研究が行われ,始めて近代醫學の脚光を浴びるに至つた。この樣な流行の性質の變貌は,爾他のヨーロッパでは1880年代,アメリカは1890年代頃から經驗される様に成つた。爾來本病はde RudderのいわゆるZivilizatinosseucheの一員として登場して來た。その流行は,腸チフスや赤痢等の様な傳染經路の分明な,原因結果の明瞭な一群の疾病(Kisskaltの所謂Krankheiten der Unkultur)と異つて複雑な生物學的因子に支配され,單に所謂衞生状態の改善位では防歇出來ない病であることを銘記すべきである。現に貧富の差その他の社會的環境は發病率に影響がなく最も衞生状態の進んだアメリカでは1946年度に患者25.191名を出している(第1圖,第1表)本病は一般に夏季即ち北半球では,7,8,9月に南半球では1,2,3月に流行し温帶に多發する病である。その年齡分布をみると小兒麻痺という別名の示す如く年少者に多いが都鄙についてこれを比較すると,鄙部では年長者の罹患者が多く成つている(第2圖)。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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