原著
最近に於ける詳細なる寄生蟲檢査成績
著者:
石野鑛三1
島津優1
矢島敏夫1
所属機関:
1慶應義塾大學醫學部 寄生虫學教室
ページ範囲:P.158 - P.162
文献購入ページに移動
精神病患者は其生活環境に於て,又其生活状態に於て一般と異るところがあると考えられる。從つて其寄生虫感染状況も亦一般と異り,又之等患者の集團間に於ては感染状況に何等かの共通したことがらがみられるかも知れないと云うことが想像される。我々は東京都下の二つの精神病院の入院患者の檢便を行う機會を得たので茲に其成績に就て報告する。檢査の時期及被檢者。第一の病院は,昭和22年12月に,第二の病院は,昭和23年3月に行つた。第一の病院では入院患者350名中其大部分328名に就て行い,第二の病院では患者250名中自分で採便の出來る程度の者151名に就て行い,其他の重症者はすべて除外した。年齡は,第一の病院では7才〜69才,第二の病院では20才〜50才である。
檢査方法 便が排泄されてから檢査までの時間は,第一の病院では2〜20時間で,第二の病院では24時間以上を經過したものが大部分である。檢査回數はすべて1回宛,原虫は主として生理的食鹽水或は沃度沃度カリ液を以つてする塗抹法で檢査し,蠕虫はアンチホルミン・エーテルを以つてする矢尾板氏の遠心沈澱法を併用して檢査した