公衆衛生60巻1号

1996年01月発行

特集 市町村における母子保健活動の推進

市町村における母子保健活動の基盤

著者： 柳川洋¹ 尾島俊之¹ 坂田清美¹ 高野陽²

所属機関： ¹自治医科大学公衆衛生学教室 ²国立公衆衛生院地域環境衛生学部

ページ範囲：P.14 - P.17

　わが国の母子保健対策は昭和40年8月に制定された母子保健法によって進められてきた．この法律は，保護者の理解と努力のもとに，母性の保護と尊重および母性と乳幼児の健康保持増進を進めようという趣旨で制定され，保健所を中心にして，結婚から妊娠，産褥期，新生児期，乳幼児期を通した総合的な保健対策が行われてきた．
　平成6年には「地域保健対策強化のための関係法律の整備に関する法律」の成立により，母子保健法が改正され，これまで保健所が主体となって実施されてきた母子保健サービス事業を，平成9年度以降市町村に移すことになった．その結果，基本的な母子保健サービスは，母と子の生活の場である市町村において一元的に提供されることになり，地域の実情に応じたきめ細かな母子保健事業を実施するための第一歩を踏みだしたことになる．