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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生60巻3号

1996年03月発行

文献概要

特集 産業保健の国際動向

産業衛生と中毒学の動向

著者: 佐藤章夫1

所属機関: 1山梨医科大学第一保健学教室

ページ範囲:P.166 - P.173

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 日本をはじめとする経済先進国では,鉛,水銀,二硫化炭素などによる典型的な産業中毒(職業病)は影をひそめ,微量・長期間曝露による健康影響が問題となっている.かつて大きな問題となっていた中毒はいずれも現在では考えられないほどの高濃度曝露によるものであった.
 しかし,現在急激な経済発展の渦中にある中国および東南アジア諸国の一部には,日本ではほとんど見られなくなった典型的な産業中毒が発生しているといわれているが,その情報はわれわれの耳に届いてこない.もちろん現在の日本でも産業中毒が発生しないわけではない.各種の有機溶剤,硫化水素,一酸化炭素,アンモニアなどによる急性中毒はしばしば発生し業務上疾患として認定されている.ただし,そのほとんどは化学物質の不注意な取り扱いあるいは事故によるもので適正な作業を行っていれば未然に防ぎ得たものである.しかし,産業衛生関係者の目の届かないところで,慢性の濃厚曝露による中毒が発生している可能性も完全には否定できない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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