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特集 産業保健の国際動向
産業疫学
著者: 櫻井治彦1
所属機関: 1慶應義塾大学医学部衛生学
ページ範囲:P.174 - P.179
文献購入ページに移動疫学は人の集団で実際に起こっている健康事象を適切,巧妙に観察し,因果関係の有無とその定量性を明らかにする方法論である.これは人についてのデータであるという大きな強みを持っているが,後追いであるということは欠点といえる.産業保健の例をとれば,有害な作業環境とそれによる健康障害の関係を明らかにするのに,疫学が効力を発揮するが,その一歩も二歩も前に,予防するべきであったともいえるであろう.その意味では,中毒学などの基礎的な環境科学によって各種環境要因の有害性を定量的に予測し,予防手段を講ずるのが最善である.その場合には,疫学は明らかな健康障害が起こっていないことを検証するために用いられることになる.いずれにしても,疫学的方法を適用すべき対象集団は,一般人口であろうと産業労働者の集団であろうと,今後とも決して尽きることはないであろう.
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