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特集 産業保健の国際動向
産業医・産業看護婦活動
著者: 大久保利晃1
所属機関: 1産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学教室
ページ範囲:P.186 - P.190
文献購入ページに移動産業保健活動はほかの分野に比べて特に社会的ニーズと密接な関係がある.したがって,産業保健の動向を検証するとき,歴史,経済,文化などとともに,とくに産業構造の動向抜きで考えることはできない.本稿で与えられた課題は,この産業保健を支える主要な専門家である,産業医と産業看護婦の活動を論ずるわけであるから,まず,こうした視点から大きく国際動向を眺めてみたい.
産業保健はラマッチーニの職業と病気の記載が嚆矢といわれる.以来,けい肺症,重金属中毒など典型的職業病対策が産業保健のイメージから離れないわけである.ところが,今日の世界を見渡すと,まず第1のカテゴリーとして,こうした職業病もかつてまだ問題になったことがない,農業国に分類される国々が存在する.ついで,急速に工業化が進展するアジアなどとともに,高度工業化への脱皮が遅れている東欧諸国など,典型的職業病が重要課題になっている国々がある.いわゆる先進国の大部分では,すでに産業保健の中心課題は典型的職業病対策ではなく,作業関連疾患と呼ばれるような,多くの要因が同時に関与する健康問題に主要な関心が移っている.
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