icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生60巻3号

1996年03月発行

文献概要

特集 産業保健の国際動向

産業医・産業看護婦活動

著者: 大久保利晃1

所属機関: 1産業医科大学産業生態科学研究所環境疫学教室

ページ範囲:P.186 - P.190

文献購入ページに移動
産業構造と産業保健ニーズ
 産業保健活動はほかの分野に比べて特に社会的ニーズと密接な関係がある.したがって,産業保健の動向を検証するとき,歴史,経済,文化などとともに,とくに産業構造の動向抜きで考えることはできない.本稿で与えられた課題は,この産業保健を支える主要な専門家である,産業医と産業看護婦の活動を論ずるわけであるから,まず,こうした視点から大きく国際動向を眺めてみたい.
 産業保健はラマッチーニの職業と病気の記載が嚆矢といわれる.以来,けい肺症,重金属中毒など典型的職業病対策が産業保健のイメージから離れないわけである.ところが,今日の世界を見渡すと,まず第1のカテゴリーとして,こうした職業病もかつてまだ問題になったことがない,農業国に分類される国々が存在する.ついで,急速に工業化が進展するアジアなどとともに,高度工業化への脱皮が遅れている東欧諸国など,典型的職業病が重要課題になっている国々がある.いわゆる先進国の大部分では,すでに産業保健の中心課題は典型的職業病対策ではなく,作業関連疾患と呼ばれるような,多くの要因が同時に関与する健康問題に主要な関心が移っている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら