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特集 感染症の新たな動向
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A群溶レン菌(Streptococcus pyogenes,以下S. pyogenes)は,咽頭炎や猩紅熱,軟部組織炎の起炎菌であり,2次的に糸球体腎炎やリウマチ熱を起こすことが古くから知られている.1980年代より欧米において本菌による劇症型感染症の多発が報告されるようになり1),黄色ブドウ球菌によるtoxic shock syndromeと類似していることよりtoxic shock-like syndrome(TSLS)と呼ばれるようになった.1993年には米国防疫センター(CDC)の研究者らによりTSLSは独立疾患として認知され診断基準案が示された2).一方本邦では,以前より劇症例の報告は散発してみられていた3)ものの,TSLSとしての報告は1993年に旭中央病院の清水らが行った症例が最初4)であり,以後旭中央病院を中心に症例報告が相次ぐようになった.1994年3月には厚生省研究班が組織され,全国の発生状況についての調査が行われるようになった.以下この研究班の報告5)をもとに本症について解説する.
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