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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生60巻9号

1996年09月発行

文献概要

連載 疫学の現状

高血圧の疫学

著者: 木村頼雄1 柊山幸志郎1

所属機関: 1琉球大学医学部第三内科

ページ範囲:P.646 - P.650

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 1972年にPickeringは「高血圧と正常血圧を分ける境界線はない.血圧と死亡率の関係は量的なものであり,血圧が高ければ高いほど予後は悪い.」と述べ1),実際に疫学研究により心血管病発症率と血圧の間には直線的な関係が証明されている2〜,4).しかしながら疫学研究や臨床の場では高血圧症の診断基準が必要であり,1978年にはWHOは収縮期血圧160mmHg以上かつ/または拡張期血圧95mmHg以上を高血圧,収縮期血圧140mmHg以下かつ拡張期血圧90mmHg以下を正常血圧,その中間の血圧を境界域高血圧と定義した5).その後の大規模介入研究の結果からWHO基準の境界域高血圧も積極的に治療すべきことが明らかになり1993年にはWHO/ISH委員会は140mmHg以上かつ/または90mmHg以上を高血圧と定義するようになった5).同年に発表された米国合同委員会による第5次勧告でも高血圧の定義は同様であるが,収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg未満を正常血圧と定義しその境界の血圧値を高値正常と名づけ注意を喚起している7)
 今後も高血圧の定義は変わりうるものであるが,本稿では多くの調査で診断基準として採用されている1978年のWHOの診断基準に基づき,本邦での高血圧の現状を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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