icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生61巻12号

1997年12月発行

文献概要

特集 現代の危機管理

予防医学におけるリスクマネージメント理論

著者: 酒井亮二1

所属機関: 1東京大学医学部公衆衛生学

ページ範囲:P.881 - P.885

文献購入ページに移動
 傷病は「好ましからざる状態がおきる確率」と定義されているリスクである.インフォームドコンセットに例をみるように,医療行動の決定因子は「健康リスクの認識度である」ことは明らかである.リスクマネージメントに関する臨床論文は年々膨大な数であり,傷病を健康リスクとして取り扱うことに強い関心が持たれている.一方,今日危機管理の必要性が叫ばれている.ここで,危機は一般に「リスクの転換期」と定義されるリスクの特殊な1つの様相であるので,リスクの予防に対し社会的関心と要求が高まっていることが伺われる.これは,地球環境問題に例を見るように,便利さを追求して増えている技術が健康と生存上のリスクを日々増大させており,また環境汚染,交通事故予防対策など個々のリスクごとに予防医学対策を策定する方法では予防対策の国家費の際限がなくなる危険をはらむとの社会認識が強まっていることにもよる.これらの結果,増大する様々なリスクの予防のために合理的なリスクマネージメントの確立が今日期待されている.傷病をリスクとして科学的に取り扱うことは医学の広範な領域で必要とされる基本的立場であるが,以下では予防医学でのリスクマネージメントを検討する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら