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特集 現代の危機管理
大火砕流の経験を生かして—長崎県雲仙普賢岳火山災害
著者: 田川宜昌1 田川雅子1 竹本泰一郎1
所属機関: 1長崎大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.891 - P.895
文献購入ページに移動火山は何百年あるいは数年たってから噴火活動を再開する.雲仙普賢岳噴火も江戸時代の「島原大変・肥後迷惑」といわれた大噴火から約200年後の出来事である.地震や水害の被害は極めて大きいが反復することは少なく,災害自体は短期間で終焉する.それに対して数年以上長期間持続反復することが火山災害の特徴であり,人々は火山と共生して行くことを余儀なくされる.火山国である日本では全国の火山に観測網が張られている.地震が地下の出来事であるのに対し,噴火は地上に溶岩が噴出するので現象的には経過を追うことは可能である.しかし,噴火活動の予知あるいは災害リスクの予測という点では多くの課題が残っているようである.こうした多くの火山噴火に共通した特徴とともに,それぞれの火山噴火は活動の反復・持続性や人間居住地への近接性などで特徴的である.雲仙普賢岳の火山災害は,噴火火口が島原市や深江町など有明海沿岸の人口密集地域に極めて近いことが,危機管理の点においても大きな特徴である1,2)(図1).
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