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アニュアルレポート・1997
衛生学の動向
著者: 齋藤和雄1
所属機関: 1北海道大学医学部衛生学
ページ範囲:P.191 - P.197
文献購入ページに移動健康科学としての衛生学の起源はギリシャ時代に遡る.ギリシャ医学は,疾病の原因を空気に求めたHippocrates(460〜377BC)の学説をさらに進めて,空気,水,場所などの環境因子と疾病との因果関係を体系的に表現し,人間の健康を阻害する諸要因の追求を行った.すなわち,衛生学は単に健康や保健という意味だけではなく,行政としての衛生事業の意義を包含する予防医学であり,その目標は人間をとりまく自然的,社会的環境要因と健康との関連を考究し,疾病の予防,早期発見および健康の維持増進に役立てようとするところにある.
日本衛生学会の起源は第1回日本聯合医学会(明治35年)の衛生関連部会(会長:緒方正規)にみられるが,全国的規模で学術集会を持つようになったのは昭和4年の第1回日本聯合衛生学会からで,以後,昭和20,21年の両年に中止された以外は毎年1回開催され,昭和24年には日本衛生学会と改名された.
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