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文献概要
連載 暮らしに潜む環境問題
電磁波
著者: 荻野晃也1
所属機関: 1京都大学工学研究科原子核工学教室
ページ範囲:P.202 - P.206
文献購入ページに移動われわれの暮らしは,いまや電気なしでは成り立たなくなっているが,その「電気のゴミ」といってよいのが電磁波である.「最後の公害ではないか?」と言われるようになってきたのはここ10年ほどのことであるが,欧米と異なり日本で話題になってきたのは,つい最近である.電磁波(欧米では電磁場)問題とは,いわば非電離放射線の人体影響のことである.γ線やx線,太陽光線・紫外線・赤外線も電磁波の仲間ではあるが,ここでは一般的に言われている電波領域の電磁波に限定しておく.
暮らしに潜む電磁波には,大きく分類して「高周波」と「低周波」とがあり,前者の放出源は携帯電話・電子レンジぐらいで,多くの電気製品からは低周波(それも極低周波)が放出されている.電気・通信技術の進歩によって,電磁波被曝が増え始めたのは第二次世界大戦以降のここ数十年であり,携帯電話のような高周波被曝はここ数年のことである.
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