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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生61巻5号

1997年05月発行

文献概要

特集 介護保険制度の特質と論点

介護保険制度と医療—主として制度的な見地から

著者: 植松治雄1

所属機関: 1大阪府医師会

ページ範囲:P.313 - P.317

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 21世紀を目前に控えたわが国は,急速な高齢社会を迎える中にあって,少産少子化の問題とともに高齢者対策が非常な重要課題となっている.とくに,介護問題を論議する中で最も重要課題と思われるのが,社会保障制度審議会将来像委員会が示しているように現在の年金5,医療4,福祉1という社会保障費の配分が,どうしても5対3対2にならざるを得ない点である.また,この点を医療保険の側から考えてみると,医療費が年間1兆円の伸びを示しているが,この中身の変化を見ると,長年の流れの中で,これが診療所から病院へとシフトされてきていることが著明になってきている.
 現在,高齢化が進むなかで,人口の9.8%の70歳以上の老人の医療費が,国民医療費全体の30%以上を占めるに至ったという現実があり,老人医療費をさらに分析をしてみると,その多くの部分が収容医療に流れている(図1).その中身をさらに分析してみると,社会的入院が医療費を大きく押し上げている実態が明らかになり,国においてはこれをなんとかしていく必要があるとの考え方が出てきた.そこで考えられたのが,病床規制や療養型病床群であり,さらには,在宅医療という形で社会的入院をなんとか病院から押し出していこうとする考え方である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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