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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生61巻7号

1997年07月発行

連載 暮らしに潜む環境問題

ダイオキシン・2

著者: 宮田秀明1

所属機関: 1摂南大学薬学部

ページ範囲:P.474 - P.478

文献概要

6.環境汚染事例
 毛髪は生活環境や職場環境の室内空気汚染を反映する最適な指標試料である.都市ごみ焼却施設従事者の毛髪中のダイオキシン濃度は対照者に較べて,PCDDで2.7倍,PCDFで4.9倍,Co-PCBで3.7倍,総濃度で3.5倍も汚染が高い(図6)15).さらに,維持・補修のために焼却炉内で作業する従事者は運搬業務従事者よりも汚染が高く,とくにCo-PCB汚染が著しい.これらの結果は一般環境に較べて焼却施設内環境がより重度に汚染されていることを示唆する.事実,焼却施設の作業環境内の空気は一般環境よりも汚染が重度であることが,廃棄物研究財団の調査でも明らかにされている.したがって,MSW焼却施設の職場環境を調査し,その結果を基に汚染軽減のための環境改善を実施することが必要である.
 埼玉県所沢市三富地区では小規模な産業廃棄物焼却炉が稼働しており,主として廃材を焼却している.焼却残灰中のダイオキシン類濃度は6,100と2,900pgTEQ/gと極めて高い(表4)16).一方,焼却施設から100〜900mの地点における土壌中の(PCDD+PCDF)濃度は96〜220pgTEQ/gであり,焼却施設からの汚染影響が低い大阪,奈良,和歌山,福岡県下の都市域よりも顕著に汚染を受けていた.したがって,焼却施設から発生したダイオキシン類が大気経由で周辺地域を汚染していることが明らかとなった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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