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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生61巻9号

1997年09月発行

文献概要

連載 暮らしに潜む環境問題

窒素酸化物

著者: 内山巌雄1

所属機関: 1国立公衆衛生院

ページ範囲:P.672 - P.675

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1.窒素酸化物の性質・作用
 窒素酸化物は燃焼時の熱により窒素(N2)と酸素(O2)とが結合して生成される二酸化窒素(NO2)や一酸化窒素(NO)などの総称で,ノックス(NOx)と呼ばれることもある.したがって発生源は工場の煙突(固定発生源)や自動車の排気ガス(移動発生源)である.生成された直後は一酸化窒素のほうが割合は多いが,比較的速やかに大気中で酸化され二酸化窒素になる(図1).
 窒素酸化物は大気汚染物質の中でもオゾンと同様に水に溶けにくく,酸化作用の強い性質を持つ物質である.したがって,水に溶けやすい二酸化硫黄が鼻腔,気管,気管支などの比較的上気道で吸収されて傷害が上気道中心であるのに対して,窒素酸化物は肺胞の奥深くまで到達して過酸化脂質を生成し細胞を傷害することになる.また肺胞マクロファージを集積させて壊死を起こしたり,活性を弱めたりするために感染に対しても抵抗力が低下すると考えられている(図2).

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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