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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生62巻10号

1998年10月発行

文献概要

総説

自覚的健康度と生命予後

著者: 川田智之1

所属機関: 1群馬大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.746 - P.750

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 自覚的健康度は,主観的健康状態の総合的評価指標である.わが国では健康意識調査の名目で,厚生省が保健衛生基礎調査の中で不定期に実施してきた.昭和61年以降は3年に一度,国民生活基礎調査大規模調査の中の健康票を用いて,「あなたの現在の健康状態はいががですか」という質問文と,「1.よい,2.まあよい,3.ふつう,4.あまりよくない,5.よくない」という回答選択肢を用いて調査している.保健衛生基礎調査と,平成元年以降の国民生活基礎調査の男女別年齢階級別データから,男女とも,同一性・年齢階級で自覚的健康度は少しずつ改善していることがわかる(図1).
 このような質問文が用いられる背景として,1)自覚的健康度は各個人が設定する健康の目標レベルに対する相対的な健康レベルであること,2)ある時点での評価にもかかわらず過去を踏まえた,すなわち評価に時間軸を含んだ健康度指標であること,3)国民生活基礎調査大規模調査でも対象者を6歳以上(ただし保護者の協力のもと)としているように,質問に対する回答が容易であること,などのメリットがある.この質問文は欧米での疫学調査でも1970年代から取り入れられはじめ,1980年代になると,それは生命予後や疾病発生の予測指標として使用されてきた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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