特集 「感染症新法」下における予防活動
感染症予防活動と保健所の役割
著者:
阪上賀洋1
所属機関:
1大阪市立総合医療センター感染症センター
ページ範囲:P.845 - P.848
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伝染病予防法が100年ぶりに改正され,その代わりに「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」(以下,「感染症新法」)が平成10年10月2日に国会を通過し公布された.新法にはエイズ予防法,性病予防法も吸収されている.本稿では感染症新法が施行された場合,その後の感染症予防活動をどうすればよいか,また保健所はこれにどうかかわっていくのか,について可能な範囲で考えてみたい.なお,本稿では感染症の治療に携わる医師としての私見を述べているので,その点あらかじめご了承をお願いしたい.またエイズ予防法,性病予防法,および現行法がそのまま据え置かれる結核予防法に関連した保健所の役割については紙数の都合でごく簡単に触れるにとどめる.
新法では法の対象とする感染症を五つに分類している(表1).これに加えて,1類感染症の疑似症患者および無症状病原体保有者は1類感染症の患者とみなされることになっている.2類感染症についても政令で定められた疾患(未特定)の疑似症患者は2類感染症の患者とみなすことになっている.