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連載 暮らしに潜む環境問題
レジオネラ症
著者: 石井孝夫1 庭田茂1 鷹箸右子2
所属機関: 1足立区足立保健所衛生指導課 2足立区足立保健所保健予防課
ページ範囲:P.294 - P.299
文献購入ページに移動レジオネラ症は,レジオネラ属に分類される菌による感染症であり,1976年のアメリカ在郷軍人会総会の参加者や周辺の通行人などに肺炎症状を起こし,4,400人の参加者中184人が発症,29名が死亡するという高い死亡率を呈した原因の菌として有名である1).また,平成8年1月に東京都内の某大学病院で,この菌を原因とする新生児の死亡事件が発生し,近年にわかにクローズアップされてきた.
レジオネラ属菌は土壌をはじめ河川や湖沼などの自然界に広く生息しており,水中の原生動物への寄生や藻などを栄養源として繁殖する.ヒトの体温に近い35〜37℃を生育至適温度とし,この温度の範囲では非常に増殖力が強いが,20℃以下では増殖せず,60℃以上では死滅すると考えられている(図1)2).
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