icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生62巻6号

1998年06月発行

視点

がん検診の意義について考える

著者: 多田羅浩三12

所属機関: 1厚生省医療保険福祉審議会老人保健福祉部 2大阪大学医学部公衆衛生学教室

ページ範囲:P.394 - P.395

文献概要

がん検診の意義—医療保険制度と健康診査事業は車の両輪
 わが国は,昭和36年に国民健康保険体制が達成されて以来,すべての国民はなんらかの保険制度によってカバーされている.このような医療保険制度の高い普及率が,わが国が世界一の平均寿命を達成している最も大きな要因となっていることは明らかである.この医療保険制度は便利な制度ではあるけれども,なんらかの症状があって医療機関を訪れるというところからすべての対応が始まるという,特性を有している.医療機関を訪れ,医師から初めて疾病の存在を指摘されたとき,こんなことならなぜもう少し早く診察を受けなかったのかと,思う人は決して少なくないはずである.
 この点の認識に立って,わが国の国民健康保険制度では,戦後の早い時期から,「予防にまさる治療はない」とのキャッチフレーズのもとに,保健施設活動という仕組みのなかで保健婦を設置したり,住民の健康診査を行って,住民の疾病の早期発見の機会をつくるための事業を実施してきた.それらの地域保健活動の貴重な実績をもとに,昭和57年の老人保健法のなかに保健事業の実施が規定されることになったのである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら