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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生63巻11号

1999年11月発行

特集 地域におけるたばこ対策の取り組み

たばこ対策の現状と今後の課題

著者: 大島明1 中村正和2

所属機関: 1大阪府立成人病センター調査部 2(財)大阪がん予防検診センター調査部

ページ範囲:P.772 - P.777

文献概要

たばこによる健康被害の大きさ
 たばこは,肺がんをはじめとして喉頭がん,口腔・咽頭がん,食道がん,胃がん,膀胱がん,腎孟・尿管がん,膵がんなど多くのがんや,虚血性心疾患,脳血管疾患,慢性閉塞性肺疾患,歯周疾患など多くの疾患,低出生体重児や流・早産など妊娠に関連した異常の危険因子である.さらに,本人の喫煙のみならず,受動喫煙も肺がんや虚血性心疾患,呼吸器疾患,乳幼児突然死症候群などの危険因子である.また,たばこに含まれるニコチンには,モルヒネやヘロイン,コカインと同様の依存性がある.
 PetoとLopezらの推定結果1)によると,たばこによる1995年の死亡数は,男女あわせて,先進国総計で191.5万人,日本では9.5万人であった.先進国総計では,1950〜2000年の50年間に男で5,200万人,女で1,050万人,合計6,250万人もの多くの人命がたばこのために失われたと推計された.全死亡数の中でたばこによるものの占める割合の推移をみると,男では1955年の10%から1985年の24%にまで増加したあと,1995年には25%とほぼ伸びがとどまっていたのに対して,女では1955年の1%以下から1995年の9%まで増加傾向にあった.また,35〜69歳の全死亡の中にたばこによる死亡が占める割合は1995年では男で36%,女で13%の大きさであった.日本では,たばこによる死亡が全死亡の中で占める割合は男で1955年の0.9%から1995年の17%まで一貫して増加傾向にある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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