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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生63巻11号

1999年11月発行

文献概要

シンポジウム 第17期日本学術会議環境保健学研連主催公開シンポジウム 「内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)の影響はどこまでわかっているか」

生態への影響・2

著者: 井口泰泉1

所属機関: 1横浜市立大学理学部

ページ範囲:P.835 - P.838

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 1998年の7月12〜16日,ニューハンプシャー州でゴードン会議という「内分泌攪乱物質」に関する最先端の会議が開催され,補助を受けて今後2年ごとに開かれることになった.そこでは,例えばミジンコを使ってステロイドホルモンの代謝を調べるというような最先端の研究が発表された.5月にアメリカ政府の会議に呼ばれた時は,ホワイトハウスとEPA(環境保護庁)に寄ってきた.その時アメリカの政府としては1,400万ドルを内分泌攪乱物質問題に恒常的に出しており,396のプロジェクトを補助しているということだった.そのうち8割は人間を対象としたものである.私の本日与えられたテーマは野生生物に対する影響であるが,野生生物でないものもあり,人間以外の例ということで紹介したい.
 まず,魚では,卵巣から出る女性ホルモンのエストラジオール-17βは魚から人間まで同じものである.これが雌の体内に出ると,肝臓を刺激してビテロゲニンという卵黄蛋白がでて,この卵黄蛋白が卵に入る.雄の場合は,精巣からはあまり女性ホルモンは出ないので,雄の体内には卵黄蛋白はあまりない.したがって雄の魚を使って卵黄蛋白の有無を調べることにより,川や海の状況がどうなっているかを調べることができる,つまり雄の体内に雌の卵黄蛋白がどのくらいあるかということを指標として見る方法である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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