文献詳細
特集 依存症の公衆衛生
文献概要
「嗜癖(依存症)をきたす人格」や「依存症に陥る心理」について考えるということは,依存症があらゆる人に普遍的なものか,特異な病理を抱えた人の特殊な問題であるのかを考えることである.そしてそれは依存症とはそもそも何なのか,どんな仕組みと意味(生体の生存にとっての有効性)を持った現象なのかを捉え直すという作業に結びつく.依存症の発生もそこからの回復も,「外界(ないし他者)が自己を受け入れているか否か」という認識をめぐって生じるというのが治療を通して筆者が得た理解であり,これを念頭に置くことによって初めて,依存症についての有効な治療をイメージできるようになる.
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