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21世紀に向けての地域保健
著者: 櫃本真一1
所属機関: 1愛媛県保健福祉部健康増進課
ページ範囲:P.146 - P.147
文献購入ページに移動O157感染症や和歌山カレー事件などをきっかけに,危機管理体制の整備が緊急課題とされ,感染症新法の成立と合わせて,保健所の役割が見直されている.またダイオキシンや環境ホルモンなど,未知の環境問題対策が,新たな保健所の役割として期待されている.保健所統廃合の強制的な推進とは矛盾するように思えるが,マスコミへの対処に奮闘中?!の厚生省としては,これまで頼りにしてこなかった保健所であっても,とりあえずシステム構成上の楯として必要と判断したのだろう.しかし保健所スタッフ自身が,これらの動きに保健所サバイバルを託しているとしたら問題だ.危機管理については,既に伝染病や食中毒対策として保健所が担ってきた役割であり,一方環境ホルモン対策は国・世界レベルで汚染状況や人体への影響を研究する段階で,保健所が直接研究にかかわる問題とは思えない.マスコミや国の指示ではなく,地域・住民に目を向け,刻々と変化する現状を見据えて,目的達成のために実施してきたこれまでの手段を,日々見直し改善することが重要だ.国レベルの情報収集も必要だが,今までの積み重ねにしっかりとスタンスを置かないで,「専門性」という言葉を誤認して,国からマニュアル付きで新たな事業が降りてくるのを待っているのでは,役に立たないとレッテルを貼られていずれ処分?!されるのがおちだろう.
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