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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生63巻8号

1999年08月発行

文献概要

特集 女性への暴力

法律家から見たドメスティック・バイオレンス

著者: 林陽子1

所属機関: 1ミネルバ法律事務所

ページ範囲:P.553 - P.557

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問題の背景
 私が「女性に対する暴力」という言葉を身近に初めて聞いたのは,1985年に国連が開いたナイロビ女性会議(第3回世界女性会議)のNGOフォーラムに参加した時である.当時の日本の女性運動の関心対象は,雇用や教育における平等にかなり限定されていたが,ナイロビでは強姦や売買春,妻への殴打,武力紛争下での女性の人権といった,非常に広い文脈で女性の人権が語られており,ここでの議論に接したことによって,自分のその後の弁護士活動に一つの方向を与えられたと思う.
 翌1986年から,私は日本キリスト教婦人矯風会がこの年に設立したシェルター「女性の家・HELP」で法律相談を受け持つようになった.HELPには東南アジア出身の女性たちの賃金未払いや売春の強要などの相談が数多く寄せられていたが,日本人男性との関係破綻に伴う相談も非常に多かった.ドメスティック・バイオレンスに関する相談を受けるようになったのはこの時からであるが,その被害がアジア女性だけではなく,日本の女性にも深く進行していることに気が付くのにはしばらく時間を要した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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