特集 大都市における地域保健サービス—その体制と戦略
大都市における地域保健体制の展望
著者:
宇都宮啓1
所属機関:
1厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課
ページ範囲:P.4 - P.9
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平成6年6月に地域保健法が成立し,12月に「地域保健対策の推進に関する基本的な指針」(以下,基本指針)が告示されて以来,保健所を設置する全国の自治体において,保健所体制の見直しが進められてきている.そのような中で,政令指定都市(地方自治法第252条の19第1項の「指定都市」,以下同じ)における保健所設置については,基本指針では「従来おおむね行政区単位に設置されてきたことに配慮しながら,都道府県の設置する保健所との均衡および政令市の人口要件を勘案し,地域の特性を踏まえつつ,設置することが望ましいこと」としてきたにもかかわらず,最近の実態としては1行政区1保健所体制と1市1保健所体制に二分されている.さらに,特に政令市(地域保健法第5条第1項で定める市を一括して,以下,政令市)では,保健所と保健センターの関係,役割分担が多様になってきている.
本年8月に発表された地域保健問題検討会報告書(以下,報告書)においては,これらの問題についての検討結果が報告されている.今回の特集では政令指定都市を対象にしているようであるが,特別区は当然のこととして,政令市においても政令指定都市と共通する事項も少なくないことから,本稿においては,これらの都市も含め報告書における関連部分の報告を中心に,今後の大都市における地域保健体制の展望について述べてみたいと思う.