icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生64巻10号

2000年10月発行

文献概要

連載 公衆衛生のControversy インフルエンザワクチンは必要か

インフルエンザワクチンは誰のため?/インフルエンザ対策特に高齢者における予防について

著者: 母里啓子1

所属機関: 1前:横浜市旭保健所

ページ範囲:P.756 - P.757

文献購入ページに移動
 インフルエンザワクチンは誰に必要か? そして効果をどう検証するか? 費用との関係は? この問いに答えるデータを集めることを無視して,わが国のインフルエンザ対策は流行を抑える目的で,それにはワクチンしかないと流行の中心(?)である学童を対象として続けられました.1959年流行阻止分として学童,警察,当時の国鉄職員,郵便局員など公共の職に従事するものに,奨励分として乳幼児や65歳以上の老人に勧められたのです.その後乳幼児には“流行が予測され感染による危険が極めて大きいと判断される十分な理由がある特別な場合を除いて勧奨をおこなわないよう”と通知されています.
 1962年法律により勧奨接種とされ,1976年には臨時接種として流行の恐れがあるときの義務接種とされましたが,以来前もって怖れのない年と言われたことは一度もなく,流行があるぞ,あるぞと脅されて,学校でのインフルエンザの予防接種は年中行事として定着し,接種率を上げることが目的になりました.同じように臨時とされた日本脳炎の予防接種は先の改正までは都道府県ごとに接種をするかどうかが選択され,北海道をはじめとして東北地方では接種は行われず関東地方では幼児期の基礎免疫だけのところも多く,九州地方で毎年追加免疫のため接種をするなど,地方により日本脳炎の発生頻度に差があるのに曲がりなりにも対応しているように見えました.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら