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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生64巻10号

2000年10月発行

文献概要

シンポジウム 第17期日本学術会議環境保健学研連主催公開シンポジウム 都市医学のストラテジー・2

感染症の世界的現状と制圧戦略

著者: 小林和夫1

所属機関: 1大阪市立大学大学院医学研究科感染防御学

ページ範囲:P.761 - P.764

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 世界の年間総死亡は約5,400万人,その内訳として,循環器疾患1,670万人,感染症1,350万人,悪性新生物700万人であり,感染症は現在でも全世界の総死亡の約1/4を占め,人類に大きな健康被害を招来している(表1).さらに,従来,非感染性疾患として認識されていた悪性新生物(胃癌:Helicobacter Pylori,肝細胞癌:BおよびC肝炎ウイルス,子宮頸癌:ヒト乳頭腫ウイルスや成人T細胞白血病:human T lymphotropic virus-I)や多くの循環器疾患における基本的病態である動脈硬化(Chlamydia PneumoniaeやHelicobacterpylori)に病原体感染が関与していることが判明してきた.すなわち,感染症は広範で甚大な健康被害を惹起している(http://www.who.int/infectious-disease-report/pages/grfindx.html).
 最近まで,日本を含めた先進諸国では感染症を解決された過去の疾患と錯覚し,その対策を怠ってきた.しかし,都市化による過密,人口の集中,貧困,交通機関の発達による人民の高速移動,国際化などが感染症の増加に関与している.感染症は病原体と宿主の生存戦争である.再興病原体は抗菌薬に耐性を獲得し,また,新興病原体は人類に新たな脅威を提供している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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