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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生64巻2号

2000年02月発行

文献概要

フォーラム

遺伝子の神秘と公衆衛生

著者: 出口安裕1

所属機関: 1大阪府福祉部高齢介護室

ページ範囲:P.128 - P.130

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 少し前になってしまったが,「ジュラシックパーク」という映画があった.恐竜(dinosaur)は絶滅して現在存在しない古生物であるが,琥珀の中の蚊の体内より恐竜の遺伝子を抽出し,科学の力で遺伝子から恐竜を再生するというストーリーであった(蚊が恐竜の血液を吸い,恐竜の遺伝子が琥珀中の蚊の体内に残っている).また,最近ではテレビや本などでも,遺伝子組み換え食品などの話題で,しばしば“遺伝子”という言葉を耳にし,私も“遺伝子治療”は次の世代の医学の新治療法であり,ある種の病気では,将来の内科医は薬物療法(くすりの注射)に替わって,遺伝子療法(遺伝子のアンプルを用いて)をするようになるかもしれないと大学教官時代,医学生に講義をした.“遺伝子”という言葉自体,非常にポピュラーになったが,それは,近年の医学の進歩,特に分子生物学(molecular biology)の展開によるところが大きい.
 遺伝子(ジーン)の本体はDNA(デオキシリボ核酸)であり,アデニン,チミン,シトシン,グアニンという4種の塩基の配列から成る.この配列は,三つの塩基がコドンと呼ばれる一つの組となり(私の米国留学した米国立保健衛生研究所〔NIH〕にて今も活躍中のニーレンバーグ博士が決定,ノーベル賞を受賞した),一つのアミノ酸をコードする(意味する).つまり,生命現象を司るすべてのたんぱく質(アミノ酸の集合体)をDNAの塩基配列が規定するのである.もちろん,このような遺伝子は遺伝情報として,親から子へ伝えられていく.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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