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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生65巻12号

2001年12月発行

文献概要

連載 公衆衛生のControversy

健康食品は有効か

著者: 成瀬道彦1 梶本雅俊2

所属機関: 1成瀬健康医療研究所 2相模女子大学

ページ範囲:P.912 - P.913

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西洋医学の抱える課題・撞着
 現代医療は,手術薬物療法を含めて,がん,心脳血管病,糖尿病,肝臓病,膠原病などすべての疾病の所見症状(腫瘍,変性物,苦痛,痛み,腫れ,発熱など)を除くという対症療法に主眼があり,そのものを根源から治すものではない.西洋医学は,いったん老化した細胞組織臓器はもう戻ることはない,という「不可逆性の概念」に支配されている.人体は受精卵から60兆個の細胞に分かれ,皮膚,リンパ球などの各種血球,神経細胞,血管壁,心筋細胞,膵臓のランゲルハンス細胞,肝細胞など,およそ数百種類に分類される細胞組織臓器から成り立っているが,健康補助食品療法は,それらに必要十分な量の食物が供給されればよい,という至って単純な考えである.言い換えれば,各種機能を有する細胞は超微細な化学工場であり,50種類くらいのビタミン,80種類くらいのミネラル,不飽和脂肪酸,活性酵素などが供給されれば,遺伝子のシステムで老化変性した細胞は正常化に向かうと推論できる.これが食効といわれるもので,「可逆性の概念」の導入が必要になる.いわゆる薬品ではこのような効果は期待できない.自然治癒力は,今の栄養学でいわれる1日30品目の摂取では,疾病の予防までであり,疾病治療,すなわち細胞の老化変性の修復再生に必要な材料は補填されないと推論できる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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