特集 ヘルスプロモーションの実践・1
ヘルスプロモーションの実践に向けて—行政サイドの視点
著者:
赤穂保12
所属機関:
1東京都杉並区保健衛生部
2杉並保健所
ページ範囲:P.255 - P.262
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WHOのヘルスプロモーションに関するオタワ憲章(1986年)のなかで,「ヘルスプロモーションとは,人々が自らの健康をコントロールし,改善することができるようにするプロセスである.」という定義が示され,ヘルスプロモーション活動の方法として,①健康的な公共政策づくり,②健康を支援する環境づくり,③地域活動の強化,④個人技術の開発,⑤ヘルスサービスの方向転換,の5項目が掲げられて久しい.その究極目標は,「すべての人々があらゆる生活舞台で健康を享受することができる公正な社会の創造」にあるという.まさにヘルスプロモーションは,一方ではライフスタイルに直結した健康に対する生活戦略であり,他方では政策に直結した政治戦略1)なのである.
ところでヘルスプロモーションが「プロセス」であるかぎり,その実践に際しては,最終目標やそれに到達する道筋(総合戦略と広範で多彩な戦術)をいかに描くかが重要であり,そのなかで現段階の活動がいかなる役割・機能を担うのか,そしてその到達点(戦線の広がり)と次なる課題は何かなどを常に明らかにしておく必要がある.