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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生65巻7号

2001年07月発行

文献概要

連載 公衆衛生のControversy 水道水へのフッ素添加の是非について

公衆衛生としての水道水フッ化物添加/現在の日本に必要な対策か?

著者: 高江洲義矩1

所属機関: 1東京歯科大学衛生学

ページ範囲:P.532 - P.533

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 わが国では無機のフッ化物に対して「フッ素(fluorine)」の用語が慣用的に用いられているが,これは国際純正応用化学連盟(IUPAC)による化学命名法に従って「フッ化物」とすることが正しい.water fluoridationは「水道水フッ化物添加」または「水道水フッ化物濃度調整」であり,「水道水フッ素化」は慣用的な呼称であって適切ではない.一方,テフロンなどの合成樹脂や麻酔薬および抗がん剤などの有機のフッ素化合物では,fluorination(フッ素化)であり,fluoridationではない.このことはフッ化物応用が普及している今日では重要な問題である.実際にわが国の科学論文で,日本語は「フッ素(fluorine)」とし,英語では「fiuoride(フッ化物)」と書き換えている研究者が多い.21世紀に入った現在,科学的な認識を新たにして用語の使い方を大事にすべきである.
 わが国でフッ化物にかかわるcontroversyが出てくる背景には,この用語から極端なバイアス(偏見)を駆りたていることも見過ごせないことである.「水道水フッ化物添加」に関して“公衆衛生のcontroversy”についての解説ということであるが,まず,結論から先に言えば,水道水フッ化物添加は現在約60カ国3億6,000万人の人口規模で実施されているむし歯(う蝕)予防方法であり,その基本的な方法は永遠に続けられていく公衆衛生的施策である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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