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連載 公衆衛生院からの発信・20
科学的GMP査察を目指して—薬事衛生管理コース
著者: 森川馨1
所属機関: 1国立公衆衛生院衛生薬学部
ページ範囲:P.700 - P.701
文献購入ページに移動優れた品質の医薬品を製造し,供給し続けることは,医薬品の有効性,安全性に直結する最も重要な課題である.医薬品は生命に直接関係する医療に用いられる重要な使命を持つことから,優れた品質の医薬品を恒常的に生産できる製造プロセスを構築し,そのプロセスを科学的に検証することは医薬品の有効性,安全性と並ぶ最も重要な課題である.さらに現在の急速な科学技術の進歩は,医薬品の製造プロセスを高度化し複雑化している.こうした現状の中で,高い品質の医薬品の製造を保証できる製造管理システムがGMP(good manufacturing practice)であり,また医薬品の製造品質の恒常的な保証を達成するために,科学的根拠に基づいた工程および試験法の設定根拠の科学的妥当性を検証することがバリデーション(validation)である.医薬品製造における品質保証は,行政に密接に関係する一方で,品質,安全性,有効性を科学的に正しく評価するためには,様々な科学の領域,薬学,製剤学,化学工学,統計学,有機化学,毒性学,微生物学をはじめとする広範囲な領域の専門的かつ最新の専門的な知識を必要とする.一方,医薬品は,国際的に流通するものであり,国際的流通に関して品質に差異があってはならず,国際的観点からの医薬品の製造品質の確保が要求されている.
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