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特集 健康日本21と職場の健康管理
健康日本21と産業保健
著者: 松田晋哉1
所属機関: 1産業医科大学医学部公衆衛生学教室
ページ範囲:P.4 - P.8
文献購入ページに移動戦後,わが国は経済成長に伴って生活環境や食生活が向上し,また全国を網羅する保健所網を通じた公衆衛生活動の展開や国民皆保険制度の実現で国民の医療へのアクセスが向上したことにより,国民の健康状態は著しく改善し,今日では世界一の長寿国となった.しかしながら,その反面,人口の急速な高齢化により,食生活や運動習慣を原因とする生活習慣病の対策が重要になってきている.現在,生活習慣病は死因の6割に達しており,また健康寿命の延伸および生活の質向上の観点から生活習慣病予防の必要性が高まっている.また,バブル崩壊以後の厳しい経済環境の中,社会保障財政の見直しが急務となっており,年間7兆5,000億円と推計されている生活習慣病関連の医療費を適正化するためにも,その対策が急がれている.しかしながら,生活習慣という個人的要素の強い疾病対策においては,結核検診やがん検診で採用されてきた2次予防的な方法論では限界があり,従来以上に1次予防に重点が置かれる必要がある.このため今回の「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」においては国民の自助努力をベースとして,それを支える社会環境を整えることが基本的な理念となっている.すなわち,その基本方針において「一次予防を重視すること」および「健康づくり支援のための環境整備を行うこと」が示され,さらに,計画の実効性をあげるために「目標等の設定と評価を行うこと」が要求されている.
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