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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生66巻10号

2002年10月発行

雑誌目次

特集 文化と健康生態・2

生活文化の意味論—保健活動の視点から

著者: 林謙治

ページ範囲:P.716 - P.718

 本稿を書くにあたって,数年前,ある講演会で聴いた挨拶の言葉が印象的であったのを思い出した.「…これからの地域保健活動に生活感覚を取り入れて…」と続く.
 ところで健康の概念は歴史的にみて「身体概念」から「心身概念」へ移行し,さらにWHOの定義のように「生活概念」を取り入れた結果,コミュニティ・ヘルスが必然的に浮上してきたことを考えると,先の「地域保健活動に生活感覚を取り入れて」のフレーズは,部分的なリフレインという気がしてくる1).地域保健活動は生活概念を内包しているので,それを取り除いてしまえば,そもそも地域に活動の主体性を置く意味がなくなる.

日常生活の健康生態・1 長生きのこつ—地域で支えられている沖縄の高齢者たち

著者: 崎原盛造

ページ範囲:P.719 - P.724

はじめに
 沖縄が長寿地域として知られるようになって久しい.しかし,なぜ沖縄の人々が長生きなのか,これまで多くの研究者が追究してきたが,長寿の要因が明らかになったとは言いがたい.沖縄に限らず,長寿地域と言われるところの人々の生活とその社会には,いくつか共通する要因があると思われる.特にその地域の人々の生き方,暮らし方に,長寿と関連する要因が潜んでいるように思われる.
 本稿では,過去十数年にわたり,多くの共同研究者とともに沖縄の高齢者を対象に実施してきた研究の成果1)に基づいて,沖縄の社会環境や高齢者の生活習慣および社会関係と,健康や長寿との関連について述べることにする.

日常生活の健康生態・2 住まいと健康—住文化の地方性を視野に入れて

著者: 鈴木晃

ページ範囲:P.725 - P.729

はじめに
 もともと住宅は土地に固定され,自然環境や地域の生活文化と一体となって存在してきた.その地方で生産される素材を使って建築され(たとえば屋根葺材料の地方による差は国内でも顕著にみられる),気候風土に適した形を生み出し,住み方を含めてその地方固有の風景をつくり出してきた.その意味では,衣食と同様,あるいはそれ以上に,地域的な特徴を住まいは有していると言えよう.現在,住宅生産システムの変化,すなわち商品化の流れの中で画一的な建築材料や構法が広がり,その地域性にも変化が見受けられる.
 本特集の「文化と健康生態」を考える際に,住まいのつくられ方や住み方といった住文化の問題も重要である.住文化の地方性についてはすでに議論がなされているが1),健康生態との関わりについては必ずしも論点が整理されているとは言えない.「すべての人の健康」のために住宅の課題は大きいのだが,地方固有の課題に関する議論はおろか,日本全体の住宅政策のレベルにおいても,いまだその認識は十分ではない.

日常生活の健康生態・3 健康生態としてのウォーキング

著者: 柴田博

ページ範囲:P.730 - P.733

二足歩行が人類をつくった
 人類が他の哺乳類から自らを差別化することができたのは,二足歩行が可能になったからである.歩行から解放された両手(前足)は,道具を作ることを覚えた.そして,両手の使用は脳に著しい刺激を与えることになり,人間は他の霊長類にも見られない,大きな大脳皮質を発達させた.
 現在でも人類以外の哺乳類は,自然の一部として生息しており,人間のみが自然を自らの都合に合わせて加工し,それを利用している.それは,大脳皮質と,自由に道具や機械を利用しうる手をもっているためであるが,もともとは二足歩行によって獲得された特質と言えよう.

日常生活の健康生態・4 性の健康生態

著者: 大川玲子

ページ範囲:P.734 - P.737

はじめに
 性=セクシュアリティとは,性別や性行動,それらに関わるすべての事柄を指し,人に普遍的に備わるものである.WHOの健康の概念に,「身体的,心理的,社会的そして霊的(spiritual)に健康な状態」と提案されているが,性の健康も近年あらためて強調されるようになった.カイロ人口開発会議(1994年)で提言されたキーワード,reproductive health & rights(性と生殖における健康と権利:以下リプロと省略),すなわち「性や生殖は基本的人権としての健康の一部である」は,その代表的な概念である.
 リプロはその後,北京女性会議で再確認されたように,女性が生殖や性に関わる事柄について,自己コントロールすべく支援することが内容の中心である.日本でもその内容は男女共同参画プラン(2000年)に取り入れられた.リプロにおける成果は,優性保護法から母体保護法への改定(1996年),バイアグラの承認(1999年),経口避妊薬の承認(1999年),DV防止法の制定(2001年)など,法的体系は徐々に進んでいると言えよう.

日常生活の健康生態・5 余暇の健康生態

著者: 小林章雄 ,   坪井宏仁

ページ範囲:P.738 - P.742

余暇の概念と時代的背景
 歴史的に余暇に関する記載を眺めると,古くは紀元前3世紀のアリストテレスのものがある.「幸福は余暇に左右されると一般に信じられている.われわれは,平和に暮らすという理由で戦争を起こすように,余暇を取るために余念がない」と述べている.彼の述べた余暇とは,何らかの活動によって埋められることを待つ空虚なものではなく,自ら選択できる活動で,高貴で徳のある考えを凝視する時間であり,幸せと喜びのための道であった.したがって,余暇は仕事より望ましいもので,余暇の中においてのみ文化の理想が実現されると見なしていた1).ここには,現代の余暇の概念に通じるところがある.
 『広辞苑』によれば,余暇は「自分の自由に使える余った時間,ひま,レジャー」である.ここにアリストテレスのような積極的意味は見出せないが,余暇の概念は一般に「労働」もしくは「何らかの義務」との対比で使用されてきた.かつては「余暇」を怠惰としての「暇」や「遊び」と結びつけ否定的な意味にとらえた時代もあるが,図1に見るように「物の豊かさ」よりも「心の豊かさ」を重視する人の割合が増加している事実は,「余暇」を自分のために活用する有用な時間と見なし,肯定的な意味合いが強くなっていることが示唆される.

日常生活の健康生態・6 子どもの遊び

著者: 井原成男

ページ範囲:P.743 - P.748

遊びと自由
 遊びは一見無意味な活動,余計な活動のように見えるが,それが人間の健康,特に心の健康に及ぼす効果ははかりしれない.とりわけ,子どもの心の発達と健康に遊びが及ぼす影響は絶大である.
 遊びは,第一に子どもの運動能力や手先の器用さ,そして社会性の発達を伸ばすために大切なものであり,そうした能力の獲得は,この世界で生きるための基礎的な技能である.子どもは遊びを通じて得た技能や,相手との遊びから得た経験的知識によって,危険から自分の身を守る方法のみでなく,同時に,相手を傷つけない方法も体得していく.ここで傷つけないと言ったのは,相手の身体のみではない.相手の心を傷つけない感覚をも同時に体得していくのである.

視点

保健所長は医師でなくてもよいのか

著者: 佐藤牧人

ページ範囲:P.714 - P.715

国立保健医療科学院にて
 今年の6月末,新しい組織として再出発した国立保健医療科学院でエイズ対策研修基礎コースを1週間受講した,埼玉県和光市郊外の畑と雑木林を切り開いた,閑静な住宅街の一角にある新しい建物はレンガの外壁であり,昔の国立公衆衛生院を思い出した.講義内容は多様で充実し,1994年に横浜市で開催された国際エイズ学会以来の,久しぶりの新鮮な知識に満足した.エイズ対策に真剣に取り組むNGO,東京都や横浜市の職員,医療関係者らの日本での感染爆発に対する危機感の強さは,普段地方にいる者にとって改めての驚きであり,地元に戻り,もう一度対策を見直す必要性を自覚させられた.

トピックス

「健康日本21」市町村計画策定支援について—保健所との市町村共同策定支援の試み

著者: 工藤啓 ,   菅沼靖 ,   右田周平 ,   荒井由美子 ,   佐々木裕子

ページ範囲:P.749 - P.753

はじめに
 「健康日本21」については,都道府県レベルでは都道府県計画策定を完了している段階である.一方,市町村では策定が義務ではなく努力義務とされていることから,策定を完了しているところはまだそれほど多くない.今後は市町村レベルの策定の促進が期待されるが,市町村レベルでの策定方法についてはいろいろな策定方法1)が紹介されているものの,試行錯誤の段階と言える.
 われわれは先駆的に宮城県宮崎町での計画策定支援介入研究を行ったが2),現在その成果を踏まえて,保健所と共同で「健康日本21」市町村計画策定支援研究事業を行っている.本稿ではその現状と課題について紹介したい.

第2回 国際シラミ会議参加報告記

著者: 関なおみ

ページ範囲:P.754 - P.755

 平成14年7月8日(月)〜12日(金)まで,筆者はオーストラリア・ブリスベンのクイーンズランド大学にて開催された,第2回国際シラミ会議(2nd International Congress on Phthiraptera)に参加してきました.詳細は表1,2のとおりです.
 人に寄生するシラミは,主として頭髪に寄生し幼児間で流行するため保育園などで問題となる「アタマジラミ」,陰毛等に寄生し性行為感染症として知られる「ケジラミ」,主として人の着衣している下着等に奇生する「コロモジラミ」の3種類がいますが,このうちコロモジラミのみが「発疹チフス」「塹壕熱」「回帰熱」という感染症を媒介します.そのため,第1回国際シラミ会議は当時流行していたコロモジラミと発疹チフスの対策を中心に,1972年,米国・ワシントンで開催されました.30年後の第2回にあたる本会議では,「コロモジラミ」から「アタマジラミ」へと内容がシフトし,シラミ症が全世界的に子どもの問題として捉えられていました.

連載 地方分権による保健医療福祉活動の展開・10

地域医療と地方分権

著者: 高木宏明

ページ範囲:P.756 - P.759

 私はこの春まで長野県の組合立諏訪中央病院で在宅ケア・施設ケアに関わりつつ,地域医療,地域ケアのあり方を自分なりに探ってきた.
 今回私が担当させていただくこの稿では,そうした現場での経験をもとに,できるだけ率直に私見を述べさせていただきたい.

今,改めて「公衆衛生看護」・9

活動事例からみた地域活動—展開過程を中心に

著者: 山田和子

ページ範囲:P.760 - P.763

はじめに
 近年,新しい保健施策として「健康日本21」,「介護予防」,「個別健康教育」など,予防に重点のおかれた施策が打ち出され,今後はより予防に重点をおいた保健師の活動が期待されている.
 保健師の行う公衆衛生看護活動は,大まかに分けると個別事例への活動と地域活動に分類されよう.個別事例への活動は直接的なサービスの提供であり,地域活動は地域におけるネットワーク化,施策化,事業化,計画策定,評価などの様々な内容が含まれている1)

私の見たイギリス保健・医療・福祉事情・10

The NHS plan—創設後最大の抜本改革

著者: 近藤克則

ページ範囲:P.764 - P.765

 前号まで,NHSの危機的状況から脱するために,ブレアのニュー・レイバーが次々と行った医療改革を紹介してきた.それは,効率だけでなく効果(質)や公正さも重視する第三の道を基本理念とし,ニュー・パブリック・マネジメントの手法を用いた改革であった.具体的には,NSF(National Service Framework)やNICE(国立臨床効果研究所)による医療サービスのスタンダードの設定,予算保持一般医の廃止とPCG(primary care group)への移行,PAF(Performance Assessment Framework)やCHI(医療改善委員会)によるモニタリングなどを組み合わせたものである.
 しかし,その効果については多くの懐疑的な意見が出されていた.人手不足で限界に達していた現場は,頻繁な制度改革に疲れていたし,多面的な政策評価に必要な報告など,ペーパーワークの増大は,むしろ一層の士気の低下を招き「どうせ今度もよくなるはずがない」というあきらめを招いていたのだ.

地域保健関連法規とその解釈・22

健康増進法

著者: 河原和夫

ページ範囲:P.766 - P.767

はじめに
 今回は,先の通常国会で新たに成立した地域保健関連法規について述べてみたい.
 健康増進法は,平成14年の通常国会で成立した.この法律は国民の健康増進を規定したものだが,新法の構成は,従来からの健康増進施策を明文化するとともに,旧栄養改善法の影響を強く受けている.また,たばこ対策の一環である受動喫煙の防止については,新たに条文化され,総体として健康増進活動のなかでも,栄養改善と受動喫煙防止対策が各論として強調されている.なお,同法の制定を受け,栄養改善法は廃止される.

全国の事例や活動に学ぶ 今月の事例 三重県健康危機管理チーム

ガメラ型健康危機管理と「連携」を大切に

著者: 田畑好基 ,   山口亮

ページ範囲:P.768 - P.769

 三重県では,平成13年4月に「健康危機管理対策室(以下「室」)」なるものを立ち上げました.感染症対策と食中毒対策を一元化するためです.計10名の構成でした.「でした」と過去形なのは,年度途中のBSE騒動のために獣医師が1人いなくなってしまったからです.室開設記念か神様のいたずらか,平成13年度は思い出深い1年でした.
 まず4月に,O 157に汚染された牛タタキが全国的に流通した事件があり,三重県でも販売されていることがわかりました.この時,患者の発生状況と食品の流通経路が容易に照合でき,「室ってけっこう便利かも」と思えるようになりました.

シリーズ 介護保険下の公衆衛生活動を考える・7

死に至る病

著者: 関なおみ

ページ範囲:P.770 - P.771

女性(?歳):胃がん術後末期,うつ病傾向(痴呆の疑いもあり),要介護 3,独居木造アパート2階

米国の知的障害者サービスと脱施設化に学ぶ—わが国の痴呆性高齢者対策への警鐘・1【新連載】

わが国の痴呆性高齢者問題と米国の知的障害者問題との接点(上)

著者: 武田則昭 ,   八巻純 ,   ,   ,   末光茂 ,   江草安彦

ページ範囲:P.772 - P.776

はじめに
 わが国の保健医療と福祉分野は,縦割り行政等の弊害もあり,ある種希薄な関係にあったと言える1).このような中にあって,壮絶とも言える障害者,家族,関係者の努力により,これまでに醸成された障害者福祉は「国連・障害者の10年」を契機に一層の加速を見せ,「福祉関係八法の改正」,「障害者基本法」を経て,社会福祉のあり方全体を変革しようとする「社会福祉基礎構造改革」と連動した地方分権に伴い,新たな展開が図られている1〜3).その一方で,知的障害者に端を発したノーマライゼーションの理念は,障害者問題だけでなく,少子・超高齢社会を目前に高齢者医療保健福祉の基本に大きな影響を与え1),福祉,医療,保健は近年,急接近を迫られている感がある.
 筆者らは米国の各種障害関連研究機関やその研究者の協力を得ながら,主として米国の知的障害者の歴史的背景,各種サービス,脱施設化について検討・研究している.またイリノイ州,ニューヨーク州などの各種関連センター,施設,シニアハウスなどの現場についても訪問調査し,検討を行っている.それらの一連の検討過程で,米国における知的障害者に関する諸状況,問題点,対策等の多くが,わが国の知的障害者に限らず,一般の痴呆性高齢者に関する諸問題,行政施策,社会活動,研究面で多くの関連性や共通点を有することに着目し,その方面からの研究を進めている.

活動レポート 調査研究をベースにした保健所活動・その4

包括的な母子保健計画策定に向けての努力

著者: 三徳和子

ページ範囲:P.777 - P.781

はじめに
 今回は母子保健活動に関する取り組みを取り上げよう.きっかけは,国が行政改革で地方分権と規制緩和の方向に向かう最中の,1994年の「地域保健法」制定と「母子保健法」改正であった.その内容の一部を見てみると“保健福祉サービスは特に国民の生活に密着した分野として,より身近な主体によりきめ細かく提供される必要がある.その一方,一定水準以上の専門的なサービスが全国を通じて確実に提供される必要がある.したがって国民に最も身近な行政主体である市町村がその提供を担い,これを都道府県や国が支える体制の推進を図る必要がある”1)とある.筆者は「保健所および町村の母子保健計画策定と子育て支援」2),「子供の虐待予防に関する母親の意識調査」3)および「『健やか親子21』の視点からたばこ対策を母子保健計画にいれる」4)について研究しまとめる機会を得ていたので,そこから述べたい.

調査報告

健康意識調査からみた親と子の生活習慣の関係について

著者: 玉貫良二 ,   坂井温子

ページ範囲:P.782 - P.786

 疾病の要因ともなる生活習慣は,小児期にその基本が身につけられると言われており,家庭教育や学校保健教育などを通じて,小児期からの生涯を通じた健康教育の推進が期待されている(公衆衛生審議会意見具申「生活習慣に着目した疾病対策の基本的方向性について」:平成8年12月18日).
 今回,われわれは小中学生とその親を対象として健康意識調査を実施した.家庭における子供の生活習慣に及ぼす影響を調べたところ,例えば親が子供の十分な睡眠や規則正しい生活に気をつけていても,子供の就寝時刻が早くなることはなく,また食事の内容に気をつけていても,間食・夜食の頻度が減ることはなかった.

フォーラム

教員公募時に健康診断書の提出は必要か?

著者: 藤本眞一

ページ範囲:P.788 - P.791

はじめに
 企業が労働者を雇用する際には,企業活動の生産性から考えて,職業能力はもちろんのこと,健康で生産性が高い労働者の雇用を希望するのは当然なことである.ところで大学等の教員の採用では,採用が確定しない公募の時点で健康診断書の提出を義務づけている機関があり,また健康診断書の作成を保健所や公的医療機関等に限定しているところも少なくない.しかし今まで教員公募時の健康診断書提出の是非についての研究報告は皆無のようである.
 そこで,教員公募時の健康診断書提出の意義や,採用側の意識等について調査し,本稿にて報告することとした.

日本学術会議環境保健学研究連絡委員会主催公開シンポジウム 環境と健康の危機管理・1

シンポジウムのはじめに

著者: 角田文男

ページ範囲:P.792 - P.792

 このシンポジウムは,第18期日本学術会議環境保健学研究連絡委員会(環境保健学研連)が主要な活動行事として企画し,当研連の有力な支持学会である日本産業衛生学会(藤木幸雄理事長)の第75回学会(学会長:住野公昭神戸大学大学院医学研究科教授)における関連行事の1つとして共催されたものである.そのため本シンポジウムは,第75回日本産業衛生学会総会会期中の2002年4月12日に,同総会会場の1つ神戸国際会議場国際会議室において開催することができた.まずもって,ご高配を賜った住野公昭学会長と,本シンポジウムの企画と運営の任に当たられた当研連委員で同総会の企画運営委員会委員でもある圓藤吟史教授(大阪市立大学大学院医学研究科産業医学分野)に,深甚なる謝意を表したい.
 日本学術会議は「法」に基づいて設立され,その目的や構成,さらには所属する研連の活動等については本誌「公衆衛生」の66巻5号に筆者が紹介しているので,ここでは省略する.ただ,第18期環境保健学研連の主要な活動方針として,今日の環境保健問題に関し,関連領域の研究者と従事者,さらに広く一般の人々をも対象とする一連の公開シンポジウムの開催を決定していることに,一言触れておきたい.

地域における環境危機管理

著者: 児島猛

ページ範囲:P.793 - P.796

はじめに
 環境危機管理とは,「人の活動あるいは自然現象等により良好な生活環境が損なわれ不特定多数の一般市民が健康被害を受けることを防止するもの」とされる.環境危機管理を適切に行っていくためには,①日常における環境監視(サーベイランス)の充実,②環境危機発生時の適切な措置,③速やかな広報体制,が必要不可欠である.
 本稿では,神戸市における大気質,水質および災害時(阪神・淡路大震災)における環境の危機管理について述べたい.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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