icon fsr

文献詳細

雑誌文献

公衆衛生66巻2号

2002年02月発行

文献概要

特集 思春期の薬物乱用予防—生きる力をやしなう活動を求めて

共に生きることを通して見える予防

著者: 和高優紀1

所属機関: 1日本ダルク本部

ページ範囲:P.78 - P.81

文献購入ページに移動
 人に話せない未解決の問題を抱え,病的心理を持っていたり,家庭・学校および職場・地域社会から孤立していたり,誰からも,どこからも必要とされていない子どもたちはどうなるでしょう.孤独で,どう生きていけばいいのかわからない状況の中で子どもたちは,心の痛みを感じて,自分自身の人生および,周囲の大人たちに不信感を持ちつづけます.そのため生き延びるために何かを強く求めだします.そこにドラッグが現れ,彼らの未解決の問題や心の痛みなどの現実から逃してくれます.それでなくても子どもたちは好奇心のかたまりです.その子どもたちが心の痛みから解放されるならば,無意識のうちに,それこそ真剣に薬物を使用しつづけるでしょう.どんなに恵まれた環境にいても,本人の心の中に不調和が生じていたなら,感謝の気持ちや,健康的な発想や行いは生まれてきません.いつの日からか子どもたちは自分自身を受け入れられなくなります.どこで何をしていても,つきまとう心の中の不調和が,子どもたちの生活を汚染していきます.そこで薬物などが子どもたちをとりこにしてしまうわけです.子どもたちが薬物を使用しやすい状況は,家族から孤立できる時間とスペース,そして多額のお小遣いを所有できることです.その子坊には家庭の中・学校の中・地域社会の中で孤立しないことがベストだと思います.しかし,大人たちの孤立化の見直しが優先なのかもしれません.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら