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文献概要
日本学術会議環境保健学研究連絡委員会主催公開シンポジウム 「飲み水の危機」—安全で快適な飲み水を守るために・2
飲料水と健康—現在問題となっている飲料水を介した感染症
著者: 遠藤卓郎1 八木田健司1 泉山信司1
所属機関: 1国立感染症研究所寄生動物部
ページ範囲:P.458 - P.461
文献購入ページに移動近年,あらためて感染症に対する関心が高まっている.1996年の大阪堺市で発生した腸管出血性大腸菌O157の集団感染は記憶に新しいところであるが,大腸菌の仲間による感染症で犠牲者が出たことによる驚きは相当なものであった.
それまでのわが国といえば,巷に抗菌グッズなるものが氾濫しており,専門家にあっては「感染症不要論者」が大手を振ってまかり通るご時世であった.この時期は,地球規模でのグローバル化が進行し,社会の仕組みや個人の生活形態が変わっていった時でもあった.当然のことながら,グローバル化がもたらすものは良い面ばかりではなく,ネガティブな影響もあるものである.人の往来や物流が盛んになれば,それに伴い未体験の病原体が侵入してくる機会が増えるであろうし,生活形態の変化は,これまでには考えもつかなかった別のリスクを生み出すことにもつながるわけである.
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