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連載 世界の公衆衛生に貢献した日本人先駆者たち―次世代へのメッセージ・8
国際緊急援助と私(下)
著者: 喜多悦子1
所属機関: 1日本赤十字九州国際看護大学国際保健医療学
ページ範囲:P.897 - P.900
文献購入ページに移動1990年代は地域グループ紛争の多い10年でした.91年だけでも,ソマリア,ユーゴスラビア,その後もルワンダなど各地で紛争が起こっています.この10年間,私は国立国際医療センターにおり,自分自身が出るというよりも人を送り出していました.そして紛争中,紛争前後の国々に保健をどのように持ち込んだらよいのか,考え始めていました.
その1つが紛争後のカンボジアです.とりわけ私は,女性を何とかしたいという気持ちで,カンボジアの母子保健センター計画に携りました.この国立母子保健センターは,言ってみれば産科病院です.しかし単に産科ケアをするだけでなく,地域の人々や他の病院のスタッフたちが勉強にくる研修センターとして位置付けました.ユーザー・フィーを導入して病院の経営基盤を確立し,それまでなかった看護制度をつくることも実践され,今ではよく動いています.冷房を入れず,ガラス窓を使って吹きさらしにし,空気の流れをよくする,冷暖房を入れるのは手術室など特定の場所だけにしてランニングコストを抑える,といった工夫もされています.
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