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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生67巻2号

2003年02月発行

文献概要

連載 介護保険下の公衆衛生活動を考える・11

猫屋敷

著者: 関なおみ12

所属機関: 1池袋保健所健康推進課医務担当係 2前中央保健福祉センター 保健医療担当係

ページ範囲:P.148 - P.149

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女性(88歳):痴呆,要介護2,一人暮らし,木造アパート1階部分

「介護保険」という意外な切り口

 見た目や臭気から環境衛生に問題があり,常々近隣から苦情を言われる家というのはどの地域にもある.特にペットに関連する問題は,保健所の生活衛生担当に通報されるケースが多いが,実際は法的権限がないので,なかなか介入できない.このような事例は一見,介護保険制度と無関係のように見えるが,対象者が高齢の場合,実は重要な切り口になることがある.

 いわゆる「猫屋敷」は以前から近隣で有名だった.猫十数匹と同居する高齢女性は,再三近所から立ち退きを迫られていたが,現在までがんばっていたらしい.実は1年前に保健所の生活衛生課にも苦情が来ていたが,何もできずに終わってしまっていた.ついに本人の痴呆が進行し奇行が出現し始めた.ある日銀行に行ってお金が下ろせず,区民事務所に間違えて現れたため,「靴下も片方しか履いていない.ドブくさい匂いがした」と窓口職員から保健福祉センター(以下センター)に連絡が入り,民生委員からもセンター長に相談があったため,さっそく係長と保健師が訪問した.本人は保健師の「何かお困りではないですか?」という問いかけに拒否せず,「これでは猫の餌を買うこともできない.車に轢かれて死んでしまいたい」と言うので,金銭管理の援助を目的として,翌日の訪問にも同意してくれた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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