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文献詳細

雑誌文献

公衆衛生67巻4号

2003年04月発行

文献概要

連載 水俣病から学ぶ・4

公害における差別の構造

著者: 原田正純1

所属機関: 1熊本学園大学社会福祉学部

ページ範囲:P.301 - P.305

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水俣病が起こったから差別された

 私が最初に水俣を訪れたのは,1960(昭和35)年のことであった.美しい海と空,それと対比的な悲惨な患者の姿,貧困.しかし,その悲惨な症状と貧困にも増して私がショックを受けたのは,患者たちへの差別であった.彼らは村の中で孤立させられて,隠れるように,雨戸を昼から閉めて,息を凝らして生きていた.

 田中アサノさんは「親戚も兄弟も声をかけてくれる人もありません.家に居る子供はなおさらかわいそうなもんでした.家は役所から消毒に来るし,井戸水は検査に来るし,村八分にされる.店に買い物にはやってくれるなと,お金も手渡しに取ってくれないし,いよいよ家のもんは生きた気持ちはしていなかったのです.(略)避病院(伝染病隔離病棟)に移るのに誰一人恐ろしがって,A子を抱いて行ってくれる看護婦も居ませんでした」1)と.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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