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連載 介護保険下の公衆衛生活動を考える・14
こんなお宅がありました
著者: 関なおみ1
所属機関: 1池袋保健所健康推進課(前中央保健福祉センター)
ページ範囲:P.384 - P.386
文献購入ページに移動倒壊寸前の1軒家
「この家がある限り,絶対にここから立ち退かない」,これが彼の信念だった.しかし彼の家は,誰がどう見ても「家」と呼ぶには憚られる代物だった.民生委員から「倒壊寸前の小屋に住んでいる人がいる.悪臭などで近所からも苦情があり,区役所で対応してもらえないか」と保健福祉センター(以下,センター)へ連絡があった.雨の降りしきる秋の日,保健師はたまたま実習に来ていた医学生と共に訪問した.その家は大通りから離れ,駐車場の小道の奥に,両側を一軒家に挟まれ,ひっそりと建っていた.ガムテープで補強された扉の奥から現れた丸顔の住人に,「何かお困りのことはないですか」と尋ねると,「トイレの住宅改修をしたい」と言う.しかし見せてもらったトイレには便器や床すらなく,直接下水管が見えていた.
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