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雑誌文献

公衆衛生67巻7号

2003年07月発行

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トピックス

メチル水銀基準摂取量のゆくえ

著者: 村田勝敬1 嶽石美和子2 佐藤洋3

所属機関: 1秋田大学医学部環境保健学 2秋田大学大学院 3東北大学大学院医学系研究科環境保健医学

ページ範囲:P.531 - P.533

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 環境中のメチル水銀はほとんどが無機水銀のメチル化によって生じ,世界中至るところで見られる海産物や淡水魚の中に存在している.米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency:以下,EPA)は,メチル水銀に感受性の高い特定集団(妊娠中に曝露を受けた胎児など)の健康への影響を防止する目的で,メチル水銀の基準摂取量(毎日摂取しても人体に影響を及ぼさないとされる量:以下,RfD)を0.1μg/kg/日と1995年に定めた.現在,EPAはこのRfDの改訂作業を行っている.

 オーストラリア・ニュージーランド合同食品基準協議会は,2001年1月に「魚は妊娠や授乳に有用な栄養素の良好な供給源であるが,水銀なども含まれているので,科学的根拠は今後の課題であるものの,魚摂取を週600g未満にすることが望ましい」と報じた.同様の勧告は米国連邦食品医薬品局(2001年3月),カナダ食品検査局(2002年5月),英国食品基準局(2003年2月)でも行われ,わが国の厚生労働省はこれらに追随する形で,妊婦のキンメダイなど数種の魚といくつかの歯鯨類に関する摂食制限呼び掛けを出した(2003年6月3日).しかしながら,日本ではRfD値がどのようにして算出されたのかよく理解されないまま,この数値が一人歩きしているように思われる.したがって本稿では,RfD値算出の経緯と,どのような意味を持つのかについて解説する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1170

印刷版ISSN:0368-5187

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