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特集 公衆衛生とプライマリ・ケア
プライマリ・ヘルスケアの視点で考える地域保健活動における保健師の役割
著者: 森口育子1
所属機関: 1兵庫県立看護大学看護学部
ページ範囲:P.597 - P.601
文献購入ページに移動WHO/UNICEFが,「2000年までにすべての人に健康を(Health For All by the year 2000)」(以下,HFAと略)との目標を掲げて,1978年にアルマ・アタ宣言でプライマリ・ヘルスケア(以後PHCと略)を提唱してから四半世紀が経過した.この間国際的には,多くの国がPHCを保健政策の中核とし,保健制度・システムの整備,社会基盤の整備,人材育成などによりPHCを推進してきた.WHO/UNICEFの提唱するPHCの本質は「住民の受けられる方法によって,住民の充分の参加によって,地域や国が予算化できる範囲内で,すべての人が恩恵を受けることができる保健サービスを提供すること」1)である.
わが国においても,アルマ・アタ宣言の出された1978年に,わが国のPHC施策とも言える第1次国民健康づくり対策が開始された.そして1986年のヘルスプロモーションに関するオタワ憲章後の1988年に,第2次健康づくり対策(アクティブ80ヘルスプラン),また1998年WHOの「21世紀におけるHFA政策(HFA21)」と時を同じくして,21世紀の国民健康づくり対策が検討され,2000年には「健康日本21」計画が具体的な目標値を含み策定された.またこの間,地域保健をめぐる政策として,老人保健法の成立,介護保険法の成立,地域保健の基盤となる保健所法から地域保健法への改正,地方分権法の成立等,目まぐるしい変化があった.このような地域保健の転換期にある現在,行政の保健師は,行政の組織再編成や各種の調査,計画策定,新たな活動への取り組み等,多くの問題に直面しながら,保健師本来の役割について考えているのではないか.
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