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連載 世界の公衆衛生に貢献した日本人先駆者たち―次世代へのメッセージ・10
ヨード欠乏症対策と私(下)
著者: 入江實1
所属機関: 1東邦大学
ページ範囲:P.68 - P.71
文献購入ページに移動ヨード欠乏症国際対策機構(ICCIDD)は,WHOやユニセフなどと協力して,ヨード欠乏症対策を世界規模で実施してきました.1990年,ニューヨークで行われた「子どものための世界サミット」には,日本からも当時の海部首相が出席され,ヨード欠乏を含む微量栄養素欠乏に対する対策を重要課題とする方針がとられました.また1996年の橋本-クリントン会談でも,日米コモンアジェンダの1つとして微量栄養素の問題が取り上げられ,その中でも特に「ヨード欠乏症対策のために日米が協力していく」という方針が立てられました.最近では,2000年に開催された沖縄サミットでも,微量栄養素欠乏症は重要課題の1つとされました
このような時代の流れに即して,一番早く動いてくれたのは,厚生省(当時)でした.厚生省の関係機関である国際厚生事業団(JICWELS)が,ヨード欠乏症対策ワークショップを3回行いました.私が会議内容のアドバイザーとなり,1997年に第1回,99年に第2回,2000年に第3回目のワークショップを東京で開催しました.このワークショップの対象となったのは,合計16カ国.各国より1名ずつの専門家を招き,それぞれ3日間の会合を行いました.ワークショップでは解決への医学的アプローチ,ヨード欠乏症対策の方法論,各国のヨード欠乏症の現状,援助の仕組みなど,広範囲なテーマを取り上げました.その結果,日本と世界各国の間で,ヨード欠乏症を介した交流も進み,いくつかの国における具体的なヨード欠乏症対策にもつながっていきました.
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