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連載 介護保険下の公衆衛生活動を考える・24[最終回]
ぼくが医者をやめた理由
著者: 関なおみ12
所属機関: 1順天堂大学医学部公衆衛生学教室大学院(前東京都豊島区中央保健福祉センター) 2前東京都豊島区中央保健福祉センター
ページ範囲:P.233 - P.235
文献購入ページに移動「先生,私と働いてみませんか?」という電話がかかってきたのは,横浜南共済病院研修医2年目の秋口のことである.豊島区中央保健福祉センター(以下,センターと略)に勤める10年上の先輩が,面識はないものの,たまたま私が学生時代に地域保健研究会というクラブに入っていたのを知り,福祉行政現場の医師のポジションに来ないかという勧誘の電話をしてきたのだ.対応に困ってあいまいな返事をしていると,「つまりこれは,ヘッドハンティングです」と言われ,確かにそういう言葉を聞いたことはあったが,実際に自分がその対象になるとは……と,呆然としたのを覚えている.実はこの頃,もともと国際保健に興味があった私は,研修が終了したら海外青年協力隊へ応募しようと考えていたのだが,家庭の事情などもあり,まずは医師としての専門性を身に付けたほうがよいという結論に達して,順天堂大学小児外科に入局を決めたばかりのところだった.
その時回っていた産婦人科医長の許可を得て,豊島区の職場に見学に行き,説明を聞いた後,「半年間考えさせてください」と返事をして帰ってきた.4月になり,東京へ引っ越し,多忙な大学病院の先端医療現場で働き始めたが,毎日当直室の天井を眺めながら,この大いなる転職について頭を悩ませた.そして最終的に,「日本に1つしかない福祉現場の係長級医師のポスト」という言葉の魅力に負け,教授や医局のサポートもあり,「出向」という形で地方行政の現場に飛び込むことになったのである.
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