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雑誌目次

雑誌文献

公衆衛生68巻5号

2004年05月発行

雑誌目次

特集 保健師を考える・2 市町村保健師のアイデンティティ

市町村保健師をめぐる議論

著者: 野村陽子

ページ範囲:P.336 - P.339

 市町村保健師は平成14年で全国に21,645人が就業しており,国保保健師が市町村保健師に移管された昭和53年当時の約3倍となっている.このような保健師数の増加は,健康づくり,老人保健制度の創設,母子保健の移管,介護保険制度の創設,精神保健福祉事業の市町村実施などの政策的な要因の影響を受けている.しかし,ここ数年は公務員の定数削減や市町村合併等の影響から,保健師の増加率は減少傾向にある.

 昨今の行財政改革,地方分権の推進,そして市町村合併等を背景とした地方自治体そのものの改革が行われ,小さな政府をめざしてアウトソーシングが促進される中で,本稿で取り上げる市町村保健師をめぐる議論は,保健サービスを担ってきた市町村保健師の存在意義にかかわるものであると思う.

市町村保健師が目指すもの:健康づくりから地域づくりへ―計画策定をチャンスとしたヘルスプロモーションの展開

著者: 櫃本真聿

ページ範囲:P.340 - P.343

住民の健康を守ることが保健師の仕事!?

 「医師の役割は?」と聞かれたら,「患者の命を守ること」と答えることにあなたは,違和感や抵抗感を持たないだろうか? 同様に「保健師の役割は?」と尋ねられたら,「住民の健康を守ること」と返答することについて,どう感じるだろうか? 老人保健法や地域保健法などに後押しされ,住民への直接サービスが急増し,その対応のために採用が急速に進んだ市町村保健師ではあるが,保健師の技能を直接提供するサービスで,本当に住民の健康を守ることができるのだろうか? 一度原点に戻って考えてみてほしい.

 健康とは疾病のないことではなく,住民それぞれが感じるものであるから,住民の健康を守るのは住民自身である.その能力や権限も保健師にはないことを再確認できたならば,次の一歩を踏み出すチャンス到来だ.保健師および行政の限界を痛感することは,決して退歩ではない.むしろ意志・情熱さえあれば,本来目指していた方向に確実に向かう転機となるだろう.

県型保健所から見た市町村保健師への期待

著者: 岡紳爾

ページ範囲:P.344 - P.347

 市町村と県は協働して地域の健康課題に取り組むこととなっていますが,しかし,その実情は地域によってまちまちです.イメージとしては,市の規模が大きくなればなるほど役割分担が進んでおり,連携・協働が難しくなるという意識があります.

 しかし,山口県を例に取れば,市町村保健師は360名と,県下保健師の半数以上を占めており,また,保健所の保健師107名の3倍以上にも及んでいることから,保健活動を行うに当たっては,市町村保健師の存在なくしては考えることができないのが実情です.

市町村合併と保健師活動

著者: 森廣浩子

ページ範囲:P.348 - P.352

松江市および新市(合併予定市町村)の概況

 本市は島根県の県庁所在地として,県の東部に位置し,人口152,616人(平成12年国勢調査),面積221.38km2,明治22年の市制施行以来,昭和9年から35カ年の間に8回にわたり周辺の村を合併し,現在に至っている.

 松江・八束合併協議会を構成する松江市および八束郡7町村は,松江市を取り囲む地域であり,以前からごみ・し尿処理,消防,介護保険,地域振興等の各分野で広域行政に取り組み,通勤・通学・医療機関への通院など,住民の日常生活をはじめ,社会経済的活動においても一体的な圏域を形成してきた.

〈市町村保健師の成果と課題〉

①住民の顔が見える保健師活動

著者: 大場彰子 ,   土屋厚子

ページ範囲:P.353 - P.356

 「豊岡村」という人口11,500人の村の保健師は,絶えず将来を見据えた地道できめ細やかな活動を展開してきた.しかしながら,現在当地域で検討されている広域の市町村合併で,今後このような動きができなくなる可能性がある.

 本稿では,今までの一人ひとりの住民の顔が見える保健師活動がもたらした成果と,今後の課題について紹介する.

②計画づくりをベースとした保健師活動

著者: 升井孝子

ページ範囲:P.357 - P.360

 城山町は,神奈川県の北西部に位置し,面積19.91km2,人口23,000人の町です.

 平成元年8月に,保健・医療・福祉・教育の連携と住民参加により,地域を基礎とした保健計画を目指し「城山町保健計画―健やかさがこだまする城山町」を策定しました.

③保健センターが核となった地域づくり

著者: 垣内春子

ページ範囲:P.361 - P.362

 保健活動の拠点となる保健センターが平成3年度に開設され,保健センター職員が常駐しました.センターには,運動の実践と指導ができる体力測定室と,健康づくりトレーニング室を設置しました.運動指導に専念する職員も配置し,母子から成人の保健施策は,健康診査から健診の結果説明,健康相談,健康教育,訪問指導を一貫して実施しています.保健センターに来られた市民が「また行ってみよう」と思えるような保健センターを目指してきました.

 本市では平成12年度,13年度において,乳児から成人までの地域保健計画「うららトス21プラン」を,ヘルスプロモーションを基本理念として策定し,推進しています.本稿ではこのことを通して,保健師活動と保健センターを今後どのように地域づくりに生かしていくか,考えてみたいと思います.

視点

佐世保市が取り組む健康づくり

著者: 光武顕

ページ範囲:P.330 - P.331

 佐世保市は,九州本土の西端部の都市で,長崎県の北部に位置する人口約25万人の中核都市です.明治時代に軍港設置を発端として急速に発展した当市は,海上自衛隊・陸上自衛隊および米海軍の施設がある一方で,九十九島,西海国立公園といった豊かな自然があり,長崎市とはまた違った,開放的で自由な気風があります.一昔前であれば「原子力艦エンタープライズの入港の街」と言えばわかってもらえましたが,最近では「ハウステンボスがある街」と言ったほうがわかりやすいかもしれません.

 当市では,昭和23年に佐世保市保健所が設置され,市民の健康づくりはこの保健所が中心となって推進してきました.昭和25年までは,終戦に伴い海外の邦人約140万人が佐世保港に引き上げの第一歩を印したり,米海軍基地が設けられたりという本市特有の事情もありましたが,全国の例にもれず,防疫から,成人病・母子保健対策,公害対策へ,そして老人保健,健康づくりへと公衆衛生施策の主眼も移ってきました.

トピックス

獣医学のトピックス「人獣共通感染症」

著者: 山根逸郎

ページ範囲:P.363 - P.368

獣医師のお仕事

 「獣医師」と聞いた時,多くの方は犬猫病院を想像するでしょうが,実際は様々な分野で獣医師は活躍しています.

 例えば,牛や豚や鶏などの家畜の健康を守ることも獣医師の大切な仕事です.これらの家畜も人間と同じように各種の疾病にかかり,獣医師が予防や治療をする必要があります.獣医師のもう1つの大切な仕事として,食肉検査所(かつては「屠畜場」と呼ばれていた)で検査を行うなど,畜産物の安全性の確認が挙げられます.2001年にわが国で発生したBSE騒動以来,BSEに対する牛の全頭検査が新聞などで取り上げられていますが,BSEの発生以前より,牛や豚や鶏が食品として流通する前に,屠殺された動物の各種の疾病(特に人間に感染する恐れのある疾病)に対する検査を獣医師が行っていて,安全な肉が供給されています.

私たちの公衆衛生(パブリック・ヘルス)―メールマガジン『風―市民と共に創る公衆衛生』立ち上げについて

著者: 荘田智彦

ページ範囲:P.369 - P.369

 イラクへの自衛隊派遣決定を経て,いよいよ憲法改正が現実問題化してきた.主にそこでの焦点は第9条だが,私たちの公衆衛生の憲法25条についてはどうなるのだろう.

 筆者が「保健婦=公衆衛生看護婦(PHN)」の取材を始めて8年になる.当初は少子高齢化と社会の備えという関心から「保健婦(師)」という職種に興味を持ったが,次第にその職能の基盤となる公衆衛生に関心が深まった.保健師との交流を深める一方,「公=われわれ」が“パブリック”の本意だとしたら,社会防衛的な公的責任の側面と,社会の構成員である公民,すなわちわれわれの側にも,自分たちの命や暮らし,そして健康を守り保持する責任があることに思い至った.それが憲法に言う「権利と義務(第3章)」と12条が求める不断の努力義務の中身である.

高齢者リハビリテーション研究会中間報告

著者: 椎葉茂樹

ページ範囲:P.370 - P.371

 平成12年から実施された介護保険制度は,在宅重視と自立支援を理念として,要介護状態になることや要介護度の重度化を予防して要介護度の軽減を図るとともに,要介護状態となってもできる限り在宅生活を継続することができるよう,保健医療サービスおよび福祉サービスの提供を行うこととして創設された.それ以降,高齢者へのリハビリテーションは主に介護保険を通じて提供されてきたが,必ずしも満足すべき状況には至っていない.このような中,平成15年7月に厚生労働省老健局内に「高齢者リハビリテーション研究会」が設置され,平成16年1月まで7回にわたって議論を行い,今後の高齢者のリハビリテーションの現状と課題,これからの見直しの方向性をとりまとめた.

要介護状態の原因疾患

 介護保険制度では,全国同一の基準により,高齢者の心身の状態に関する詳細なデータをもとに要介護認定が行われるため,要介護度の変化や要介護高齢者の心身の状態について,様々な分析が可能となっている.

特別寄稿

女性医療の隙間

著者: 荒木葉子

ページ範囲:P.372 - P.375

 女性たちはより長く生き,より学び,より働き,より非婚となり,より遅く少なく産むようになった.教育と経済力を獲得し始めた女性たちは,自立した自由な人生を構築したいと願っている.生涯を通した女性の健康を考えるには,こうしたライフサイクルの変化に応じたシステムが必要である.

 また,平均寿命の男女差は平成12年には既に7歳となっており,年々その差は拡大傾向にある.なぜ,このような差が出るのだろうか.その謎を解くには,生物学的な性(セックス)と社会的な性(ジェンダー)に着目した解析を行い,性差に基づく保健,医学,医療,介護,薬事,環境システムを構築することが必要である.

特別記事

[座談会]日本の疫学と公衆衛生の未来を考える②―研究と現場の間にある疫学

著者: 寶珠山務 ,   寺田勇人 ,   築島恵理 ,   大石修 ,   小橋元 ,   大木いずみ

ページ範囲:P.376 - P.383

寶珠山(司会) 前号に引き続いて,日本の疫学と公衆衛生の未来を考える座談会の第2弾を進めたいと思います.参加者は,日本疫学会の「疫学の未来を語る若手の集い」(以下,「若手の会」)の世話人メンバー3人と,保健所や行政等,公衆衛生の現場でご活躍中の3人の若手医師の方々です.今日はこの6人で,研究と現場の間にある疫学の姿を大いに語り,浮かび上がらせてみたいと思います.

 公衆衛生業務と疫学との接点は?

 寶珠山 早速ですが,地域保健など公衆衛生の現場では,疫学との接点をどのように見出せるのでしょうか.

連載 Health for All―尾身茂WHOをゆく・2

WHOに至るまで

著者: 尾身茂

ページ範囲:P.332 - P.333

 保健・医療を志す動機は人によって様々だと思います.身近に医療関係者がいて影響を受ける人もあるでしょうし,家族や自らの闘病が契機になることもあります.しかし,私の場合は中学・高校を通して,医療という分野を自分の将来の仕事として考えたことは皆無でした.理科系の科目は不得手であり,むしろ,生徒会活動や剣道など,人と話し,体を動かすことが性に合っていました.したがって将来の職業としては,外交官や商社マンのような,世界を飛び回る仕事を漠然と考えていました.

 そのために是非ともアメリカに留学してみたかったのですが,当時は高校生の海外旅行など,考えられなかった時代です.たまたま,AFSという奨学制度で高校生でもアメリカで勉強する機会があることを知り,柄にもなく教会の英語バイブル教室に通い,英語だけは懸命に勉強しました.

公衆衛生ドキュメント 「生きる」とは何か・2

核実験の地・セミパラチンスクの子どもたち

著者: 桑原史成

ページ範囲:P.334 - P.334

 戦争と紛争は,いつの時代でも繰り返される歴史がある.今世紀に入って,アフガニスタンとイラクで戦争が起こり,イスラエルとパレスチナでも,終わりのない紛争が続いている.

 すでに過ぎ去った20世紀は,一言で「戦争の世紀」とまで言われる.第二次世界大戦が終結して,東西の冷戦が半世紀にわたって続いた.西側のアメリカが核を開発すると,東側の盟主・旧ソ連邦も追従するように核実験を始めた.

Rapid Review & Topics・2

Evidence Based Nutritionに基づく糖尿病予防のための栄養教育の評価研究

著者: 山岡和枝 ,   丹後俊郎

ページ範囲:P.384 - P.387

 近年,世界的に2型糖尿病の増加が見られ,その有病率は2025年に成人の5.4%になるとも予想されている1).2型糖尿病はインスリン分泌低下を主体とするものと,インスリン抵抗性を主体としインスリンの相対的低下を伴うものなどがあり,糖尿病の中では最も多い.日本では2型糖尿病が糖尿病全体の98%程度を占め,近年,著しい増加を示している.

 以下,本稿では2型糖尿病を単に「糖尿病」と記すことにする.糖尿病は合併症が重症であり,患者に深刻な健康影響を及ぼし,QOLの低下をもたらす.糖尿病の罹患には食習慣や身体活動度の低下など「生活習慣の欧米化」が関係していると言われ2),肥満の改善やエネルギー消費によりインスリン抵抗が高まり,耐糖能が向上することから3),食事や運動などの生活習慣の改善が,糖尿病予防に効果的であることが期待される.

New Public Healthのパラダイム―社会疫学への誘い・5

抑うつ-社会と身体的健康をつなぐもの(1)

著者: 近藤克則

ページ範囲:P.388 - P.391

 社会経済的因子が身体に影響を及ぼす経路として,物質的環境,健康行動などと並び,ストレスなど心理的な因子が重要であること,それが実証されつつあることを,前号で述べた.しかし,「客観的な証拠を見せろ」という声が聞こえてきそうである.筆者がそうであったように,長い間医学モデルに慣れ親しんだ医療専門職は,「心と身体症状との間に関連がある」と言われても,それは典型的な心身症など一部の例外的な症例において見られる限定的なものであると見なしがちである.特に科学的批判精神の旺盛な者や,心気的な訴えを繰り返す患者への対応に苦労した経験のある者ほど,心と身体症状の関連が一般に見られるという見解に対し,否定的であろう.

 心や感情は客観的にとらえられない怪しげなものであり,心理・感情的因子が身体的健康に与える影響は限定的なのであろうか.それとも,今までとらえる術が乏しかったために見落とされていただけであり,その広範な影響を科学的な方法でとらえることができるのであろうか.果たして,この2つの考えのどちらが真実に近いのであろうか.

「PRECEDE-PROCEEDモデル」の道しるべ・2

PRECEDE-PROCEEDモデル

著者: 神馬征峰

ページ範囲:P.392 - P.396

道しるべ

 筆者も翻訳に携った『ヘルスプロモーション:PRECEDE-PROCEEDモデルによる活動の展開(医学書院)』1)(以下,本書)が日本で出版されたのは,1997年12月1日である.良い売れ行きを示したそうだが,どう読まれてきたかについては,あまり知ることができずにいた.当時私はネパールで働いており,海外生活は2002年6月まで続いたからである.

 その後日本に帰国し,読者と触れ合い,直接感想を聞くことができた.賛辞があった.「難解な英語に悩まされることなく,このモデルへの理解を深められた」と言う.一方,「第1章で挫折した」という声も多かった.「買う人は多いが,読む人は少ない」という意見もあった.

全国いきいき事例ファイル・10

保健師活動のPRと学会活動

著者: 石川貴美子 ,   岩室紳也

ページ範囲:P.397 - P.400

 保健師は健康教育や健康相談,さらには家庭への訪問というあらゆる方法で地域の人とかかわりを持ち,住民から頼りに,そして感謝されています.しかし,疾病構造の変化,さらには地域や家族の機能の変化に伴う育児不安や虐待問題など,地域のニーズは複雑化,多様化しています.また,地方分権の進展に伴う市町村への権限委譲,さらには,厳しい行財政事情の中で,保健師活動の内容も変化することが求められています.

 秦野市でも,以前は保健師自身が「保健師活動は人の役に立つ仕事」,「今している仕事はこれからも必要な仕事」と思い込み,「新たなニーズは何か」,「現在の仕事がどの程度役に立っているのか」,「どの仕事の優先度が高いのか」などを真剣に検討する機会は少ない状況で,不安や疑問を感じることもほとんどなく,法律で定められた事業をどう実施していくかを考えることで精一杯でした.

世界を見て,日本を見る.Public Health Opinion・5

英国の公衆衛生教育

著者: 正林督章

ページ範囲:P.402 - P.403

ロンドンスクールでの公衆衛生教育

 1. ロンドンスクール概況

 平成8年9月より平成9年9月までの約1年間,私はロンドン衛生熱帯医学学校(London School of Hygiene & Tropical Medicine,以下ロンドンスクール)に留学する機会を得た.当時のロンドンスクールの概況を述べると,組織としては,公衆衛生政策学部,疫学人口科学学部,医療寄生虫学部,臨床科学学部の4学部から成り立っていた.職員数は大学から直接給与を支給されている研究職がパートも含め113名,その他大学以外から給与を支給されている研究職員が173名おり,その出身国も31カ国と多彩であった.後者の職員は日本の大学の助手や講師クラスに相当すると思われるが,自分で人件費込みの研究費を国,国際機関や財団から取得して,ロンドンスクールに籍を置きながら研究を行い,成果が出ないと解雇される身分である.

 学生数はドクターコースも含めると計564名,男女比率は3:4でやや女性が多く,その出身国はヨーロッパ,北米,南米,アフリカ,アジア各地域の81カ国にわたるが,半数は英国人である.平均年齢は30歳台前半と言われており,みなバラエティに富んだ経歴の持ち主だ.現に私のクラスメートは,ルワンダ保健省の健康教育課長,国境なき医師団の一員としてアフリカの各国を10年以上回っているベルギーの医師,無医村で母子保健プロジェクトをリーダーとして運営してきたバングラディッシュの医師など様々であった.なお,医療関係者の占める割合は全体の1/3程度である.

資料

高度高齢化地域の中高年の体力・身体特性と問題点

著者: 渡部かなえ ,   今井真実

ページ範囲:P.404 - P.406

 平均寿命が延びて,日本の高齢化率(65歳以上が全人口に占める割合)は17.4%に達した(2000年現在)1).その男女比は4対6であり,80歳以上では1対2で,女性の比率がかなり高い.2005年には世界最高水準に達し[世界の人口推計は,UN(World Population Prospects, 2000 Revision(medium variant))による],2050年には35.7%(中位推計)となって,約3人に1人が高齢者という超高齢化社会を迎え,約2割が65歳以上女性となると予測されている2,3)

 高齢社会を心豊かで活力あるものとし,要介護状態になることを防ぐには,生涯にわたる健康づくりが重要である.「アクティブ80ヘルスプラン」4)や「健康日本21」5)などの健康事業が推し進められているが,その効果的な実現には,超高齢化社会の主要構成員となる高齢者,特に大半を占める高齢者女性の体力と健康がどのようなものになるのかを予測することが不可欠である.

基本情報

公衆衛生

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1170

印刷版ISSN 0368-5187

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